さて、最近小生の子飼いの一人がムカデに心酔しているが、小生も沖縄在住のころ、やんばるでドでかい翡翠色をしたオオムカデを見てからあのムカデは何なのかと気になっていた。それはもうのんびりした気持ちで森の中を逍遥し、優雅に倒木を持ち上げると、異国の人間のいちもつが如き野太いオオムカデが現出したとあっては驚くなというほうが土台無理な話である。おまけに翡翠色である。雅な事この上ない。 調べてみると、沖縄にいるこのオオムカデは、ひとまずの形としてはScolopendra subspinipesの亜種のひとつとされ、琉球列島から東南アジア、中国、インドまでとべらぼうに広い分布域にいるS. s. dehaaniとしている。もう1亜種、S. s. subspinipesも沖縄には分布しているとしており、これが所謂トビズムカデとされる。ただし、Scolopendra subspinipes種群の中にはトビズとされるもの(アカズと言う場合もあるみたいね)がもう1亜種おり、それはS. s. multidensとされ、これはsubspinipes亜種でなく、独立種としてS. multidensとされることもあるようだ。これには異論もあり、Schileyko(2007)はScolopendra subspinipesの一つのフォームであるとしている。 というわけで、日本にはScolopendra subspinipes種群が4亜種いると。和名と対応させると以下のように。
トビズムカデ Scolopendra s. subspinipes トビズムカデもしくはアカズ Scolopendra s. multidens ※もしくは独立種のS. multidens 翡翠素敵ムカデ S. s. dehaani アオズムカデ S. s. japonica
Lewis, J. G. E. 2010. A key and annotated list of the Scolopendra species of the Old World with a reappraisal of Arthrorhabdus (Chilopoda: Scolopendromorpha:Scolopendridae). International Journal of Myriapodology 3 (2010): 83-122.