さて、香港で撮ったナノハナハブ。国内には生かした状態で持ってこれないので、液浸固定。おそらく基亜種のP. j. jerdoniiとは思うものの、齢差もあるだろうし斑紋パターンでは識別がちょっと曖昧。中国に広く分布するP. j. xanthomelas ならば赤い斑紋が入るので、これは識別が簡単ですが、残りの2亜種、つまり基亜種と P. j. bourreti はかなり微妙な気がします。Gumprecht et al.(2004)の「ASIAN PITVIPERS」を見ると、両者で腹板数がかなり違っていましたので(基亜種:160‐173;bourreti:189-192)、これは使えるかもしれないと思い数えてみると、ちょうどこの両者間のレンジの間。う~ん…と調べていくと2009年に
Peng Guo, Anita Malhotra, Cao Li, Simon Creer, Catharine E. Pook & Tao Wen. Systematics of the Protobothrops jerdonii complex (Serpentes, Viperidae, Crotalinae) inferred from morphometric data and molecular phylogeny.
という論文が出ていたので、読んでみます。
そいういえば、過去の論文で(Tu et al,2000とか)、琉球列島のホンハブ P.flavoviridis は地理的に近い地域に分布しているサキシマハブやタイワンハブよりも本種との遺伝距離が近く、それ故ホンハブが遺存固有的とされていたと思うんですが、Malhotora & Thorpe(2004)や Guo et al.(2009)の系統解析を見ると、ハブ・トカラハブ+サキシマハブ・タイワンハブで姉妹群を作り、ナノハナハブとは離れていました。これらの論文中でProtobothropsの系統地理は言及されていませんでしたが、将来的に従来の解釈が変わってくるかもしれません。