パフィオペディルム達
Paphiopedilum
割と蘭が好きなんですよ。蘭って言っても色々ありますが、僕はパフィオペディルムの悪趣味全開のものが好きです。爬虫類だと原種や、地味な色彩のものを好むんですが、蘭についてはまぁ、ほとんど知らないので、こうまず見た目から入っちまいますね。
蘭については、昔エリック・ハンセンの「ラン熱中症 愛しすぎる人たち」を読んで「蘭の世界も面白いなぁ」と素直に感想を持って、というか、この著者の蘭を取り巻く人の描写や考え方が非常に中立的かつウィットに富んでいて、読み物としても非常に面白かったので蘭の世界に好感を持ちました。本書は、保護区内でのほとんど密の蘭ハンターやそれを援助する愛好家、はたまた不当に蘭を押収する保護局や、きちんとした意見を持った研究者などなど、かなり広い分野で一つの花と言う対象を様々な人が取り巻いて、あまりそうしたものに興味のない人たちでも「なんだなんだ、これは何かあるんじゃなかろうか」という好奇心を持たせることに成功した興味深いノンフィクションでしょう。単に蘭愛好家を俗的な強奪者に仕立て上げないで、それぞれが魅力的な人物として、いかにそういう人たちを蘭という花が惑わしていったかをわくわくと読み進めさせながら、時には視点を読み手に立ち返らせる点ではノンフィクションの読み物として一流だと思います。例えば、蘭品評会での様子を半分悪意をもって(?)、そして茶目っけたっぷりに蘭を批評する人たちを批評する描写は、面白いながらも、実際爬虫類に対し普段どーだこーだ言っている僕のような趣味者にとってふと我が身を省らせる風刺に富んでいたりします。
この他蘭売買についてはスーザン・オーリアンの「蘭に魅せられた男」も、自身が先の著者と同様蘭の自生地に大変な目に遭いながら赴き、蘭を取り巻く人々をこれも面白く興味深く描写する視点は魅力的です。フィールド好きならば唐澤耕司の「世界ラン紀行」なども、現地の写真と情景を連想させる文章の表現で、外に蘭を見に行くモチベーションを上げてくれることでしょう。かのH・G・ウェルズの「珍しい蘭の花が咲く」なんてのも博物学的怪奇趣味浪漫を後押しする上で良い読みものかもしれません。

と、まぁ、ちょっとあるだけでも蘭の世界は魅力的なわけです。でもって、導入の書が「ラン熱中症」だったわけですし、珍妙な生物が好きな気質ですからパフィオペディルムには心奪われました。食虫植物でもないのに、ハンマーオーキッドのように昆虫をだますわけでもないのに、この奇々怪々な花の形状!特にパフィオペディルム・サンデリアヌムには誰しもが感嘆することでしょう。

こんなのとか、ちょっとなんて書いたらいいか困るくらいの花弁を持つものもある様です。

アツモリソウ的なのとか(
P. micranthumかな?)

割とオーソドックスですが、花弁の斑がすさまじいのとか(
Paphiopedilum callosum?)

そして、うわっコレはスゲーなぁ、と思っていたのが多分
Paphiopedilum rothschildianum であったり。
まぁ、結局のところ蘭に関してはドの素人に過ぎんのですが、機会があればこれらにも注目して行きたいなzぁとは思っています。ただ、現在ではほとんどのパフィオの現生種がサイテスで取引に制限がかけられ、規制の対象になっているようです。爬虫類では僕は比較的こうした保護種に関しては厳しい見方を持っているらしい(知人に言われる)ので、蘭でもやはり野生生物なのですから、ただ「きれー」とか「めずらしー」だけで扱わないようにしないといけませんね。
最もそうした保護一辺倒の考え方ではバランスが悪いですし、そのために先の紹介した読みものがあるわけです。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
- 2010/12/15(水) 22:25:23|
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| コメント:3
おおっ、このサイトでスリッパ蘭を見れるとは。
この手は愛好家が多くて、高額取引は当たり前ですね。海外では、それをネタにドラマがあるくらい。
今でも密猟は絶えないと聞く世界ですが、栽培して殖やせれば良いのにねというのは素人なんでしょうかねぇ。
- URL |
- 2010/12/15(水) 23:03:42 |
- trap #-
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僕もランは好きです。結局、中米、パプアニューギニアとランを求めて出歩いています。
今の仕事も、ホンデュラスの植物園でラン関係の指導をしています。それだけ人を狂わせる魅力的な花だと思います。
P.micranthumですが、micranthumは小さいという意味ですが、パフィオでも最大級の大きな花ですなんか変ですが、これは中国の命名者が、山取り株を栽培したら成長不良でショボイ花が咲き勘違いしてつけちゃったみたいです。豆知識です。
先日は、こちらの疑問にお答えいただきありがとうございました。
- URL |
- 2010/12/16(木) 11:47:58 |
- oikawa #Dq7jXxo2
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>trapさん
まぁ、蘭はいまや細胞から培養できるようなので、取引の大半はこのようなクローンなんでしょうが、一部ではやはりまだ野生株の密輸はあるようですね。
逆に培養で株が得やすいので、初期に少数導入することでわざわざ危ない橋を渡って、野生株を導入することの意味をなくすという考え方もある様です。
> oikawa さん
どうも!
ランの人とは思いませんでした。にしても、うらやましいところを渡り歩いておりますね~
micranthumはそういう経緯が、笑。
ネットで見ましたがmicranthumが森の中で群生している様は非常に素晴らしいものでした。いつか野外でパフィオは撮影してみたいです。
- URL |
- 2010/12/19(日) 18:51:00 |
- 化野 #-
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