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爬虫類やらその他のイキモノ

ペットとして

アルバーティスパイソン

アルバーティスパイソン Leiopython albertisii

 最近は、あまり飼育動物というものを撮らなくなった。新たな個体を導入した場合、記事用や図鑑用に撮影することは多いのだけれど、果たしてペット(愛玩動物)としてそれらを撮影しているか?と問われれば、否となる。勿論、その種や個体が映えるように写し、他人の共感を得られるものを撮って出すというのは、こうした生き物の撮影をする者の基本的な義務であると思うが、それを発する動機の中にはペット的な視点というのが最近では非常に希薄であることを意識している。

 それ故、私は飼っている生き物を「ペット」と呼ぶ事が少ないし、冒頭でも記しているように飼育動物としている方が、意識と行為の距離感がない。しかし、ここでそもそも爬虫類のような家畜として飼養されているわけでもない動物をペットとして見る時点で、また一つの議論の余地があるが、今回は爬虫類もペット足りうる存在として話を進めて行く。

 ペットと飼育動物の差異は何かと考えてみると、非常にあいまいで定義しにくい要素だが「愛情」の介入ということになろう。「ペットは愛情と責任を持って飼育しましょう」とかいう標語もあったくらいなので、それはそうとして捉えよう。まぁ、愛は責任を伴うものなのです。
 飼育して行く上で、あるレスポンス(ペットの場合、馴れるとか)が無ければ、飼育は苦痛で、当人にとって途端に無意味な惰性的行為になり下がってしまうだろう。レスポンスを等価に保つモチベーションがペットの場合愛情である。愛情をかければ馴れてくれ、またそれが行動心理学でいうところの正の強化になり飼育の継続につながる。では、飼育動物とした場合レスとなるのは何なのか?
 それは好奇心に尽きるだろう。好奇心と愛情の違いは何だろう?と考えてみると、これもまた厄介な問題ではあるが、やはりこれは飼育する生き物をペットとして見るか飼育動物として見るかという点に帰ってきてしまう。

 ペットの場合、その動物の個性を重んじることだろう。この子はこれをやると喜ぶとか、私の顔や行動に反応するとか、その動物が所属する種を超えてこちらにレスポンスしてくる(もしくはそう見える)ことに価値観を見いだすことだ。一方、飼育動物の場合、その個体を通じてその種がもつ背景を模索してみようという意識がある。

 例えば、今回アップしたアルバーティスパイソンも最初はペット的な動機で購入した。まぁ、カッコイイヘビではある。しかし、ペットとしてのヘビ、ではなく野生動物としての視点が加わってくると、そもそもの情報量が野生動物として見た方が多いので、好奇心が占めるウェイトがどうしても大きくなってしまう。そうなると、ある程度飼育年数が進んだものは、いくつか象徴的なカットを撮れば、おのずと室内での撮影というのはマンネリとしてくるし、あまり撮る意味が見出せなくなってしまう。
 そのうち飼育にも飽きが…と来そうだが、それでも飼ってるところを見ると惰性的だが愛情というものも一部にはあるのだろう。大体本種の場合は買ってきた経緯というのが愛情であっただろうし、笑。

 そうなると最近購入する生き物の多くが愛情由来ではないことに気付き、「写真が撮りたいだけ」とか「現物を手に取ってみたいだけ」とかいうことになる。餌を食べるシーンなんかも見ては見たいので、とりあえず飼育したりもするが、大抵は他の大事そうに飼ってくれる人に回すか、標本にしたりする。なので、最近「ペット何か飼ってるんですか?」とか聞かれても「アルバーティスくらい?」とか答えてしまう。や、あとはパプアンパイソンは抱き蛇としてペット的に買ったので(アルバーティスだとちと小さい)、この2種が私の飼っている「ペット」であろう。

アルバーティスパイソン

 とまぁ、そうしてみてみると、成程可愛らしいし、飼育する原動力が愛情でも別にいいかなぁと思ってくる。最も、アルバーティスパイソンはちょっと前に複数新種記載があったタクソンだし(過去記事参照→http://adashinoren.blog95.fc2.com/blog-entry-200.html)、そういう意味で同属他種のものが見てみたい!とりあえず欲しい!という好奇心がかなりのウェイトを占めているというのも事実である。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/12/09(木) 20:59:39|
  2. アルバーティスパイソン Leiopython
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

私の付き合い方は、かなりペット寄りだと思います。
いくら見た目が好きで、生態が興味深くても、”荒い・馴れない・出てこない”が続くと、一気に冷めますから。

写真に関しては、自分のために撮るのは「成長記録を残すため」ですね。
好きなペットの写真を撮るといっても、世話をしながら毎日それを見てるので、飼育日数が嵩めば撮影欲は薄れますからw
なので、撮影理由の大半は、「自分では飼ってないけど、その種が見たい」って人のためでしょうか。


ところで、久しぶりにアルバーティスの過去記事を読ませて頂きましたが、これだけの情報を無料で提供して頂けるなんて、本当に心から感謝です。
  1. URL |
  2. 2010/12/10(金) 00:24:37 |
  3. くろたまナイト #-
  4. [ 編集 ]

その愛のレスポンスには、多分に自己の投影なんかも在ると思います。犬猫なんかなら別に違和感無いですが、一部の哺乳類や鳥以外はそう言った情動的なものは返って来ないので、個人的にはやはり「飼育動物」というスタンスが強いかも。勿論ペット的な愛もありますし、餌喰わないとイラッともしますが(笑)

あ、アルバーティスの記事初めて読みやした。恥ずかしながらこれほど細分されているとは知らなかったので成る程、面白いなあと読みました。

ところで、いつも色んな生き物の雑誌等の記事を読んで思っていることをこっそりと書きますが(笑)、シノニム(同物異名)で「抹消」されたと云うのは余り適切な表現では無いように考えてます。『有効名』(検討の結果そのタクソンに当てるべきネームである‘valid name’とは別)として認められたネームですし、後々復活する場合もよくあることですからね。

この場合、「抹消」と言っても語弊がないのは、ホモニム(異物同名)として認められて『無効名』とされたネームの方ですね。復活は有り得ない訳で抹消としてもまぁ良いかと(シノニムリスト(分類変遷表)には残りますが)。あと、これは条件付きですし、趣味の分野に登場することは皆無に思いますが、50年間全く忘れ去られて、何処にも使われなかったネームも『無効名』とされることがあります。

とまあ、長々とすんませんです。あんまりここで書くことでも無かったかもしれませんが、まぁまた飲みながら真面目20%位で語りませう(笑)
  1. URL |
  2. 2010/12/10(金) 04:47:29 |
  3. acraeoides #aCXfCcIc
  4. [ 編集 ]

以前は魚と猫を飼ってましたが同じようには見れませんね。猫は十分に家族の一員になり得ますが魚は趣味的なペットって感じの位置づけでした。
更に言うとレイアウトもやってたのでそうなるとレイアウトの一部として扱ってた時もありましたし、手放すときにも躊躇はなかったように思います。

よくレッドテールキャットなんかペット的な付き合いができるとかいいますが奴らは人に慣れはしますが決して懐くワケではないので犬猫のような付き合い方は無理かと思います。爬虫類の場合でどうなるかは知りませんが度が過ぎるといつかのひなたぼっこ騒動みたいなのが起きかねないので、それに見合った付き合い方というのは知っておくべきなのかなぁと。
まぁ楽しみ方は人それぞれでしょうが、分類とかコレクション的な楽しみ方ができるのが魚や爬虫類の強みでもあると思いますしね。

とりあえず帰ったら久しぶりにカブトエビ飼いたいっす。
  1. URL |
  2. 2010/12/13(月) 16:32:11 |
  3. Nyandful #-
  4. [ 編集 ]

> くろたまナイトさん
慣れない・荒い!ってのはやはりペットとしても飼育動物としてもデメリットですね。
たまに「荒いのが魅力」とかありますけど、ケージの中でそれやられてもどうしようもありませんからね。純粋にペットとして飼うなら従順な子がいいです。アルバーティスなんて荒いの最たる例ですが、うちにいる個体はなんだかベタベタの抱き蛇です、笑。

>acraeoidesさん
先日は結局真面目成分0%の飲み会でしたね、笑
むしろマイナスいってたかもしれません。

 「抹消」の件については成程ですね。確かにのちのち復活する場合が多いですし、「消」という意味では正しくないですね。割と著名な方でもこういう書き方しているので、当然のことと思っていましたが、よくよく考えると言葉選びは気をつけなければいけませんね。

>Nyandful さん
猫は結局のところ家畜ですしね。その家畜と野生動物の線引きを意識しないといけないと思います。

カブトエビは良いですね!昔売ってた乾燥カブトエビ卵を孵すのをよくやってましたが、ホウネンエビが出ると当たり!と思ってました、笑
  1. URL |
  2. 2010/12/14(火) 00:05:02 |
  3. 化野 #-
  4. [ 編集 ]

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