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Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

過ぎゆく夏とか海とか

Laticauda saintgironsi

Laticauda saintgironsi
撮影地:ニューカレドニア,アメデ島(2010年3月)

暑さは未だ変わらねど、騒ぐ蝉は遷りけり

 いやぁ、とうとうツクツクボウシがメジャーになってきましたね。明け方のクマゼミのワシャワシャ合唱がほとんど聞こえなくなり、ポテポテと死骸が目立ってくる今日この頃。ちょっと前まで沖縄にいたため、このセンチメンタルな生き物の遷移にはちょっと感傷的になりますね。
 こっちが季節の移り変わりを憂いている時も、ニューカレドニアのアメデ島では、今日も変わらずウミヘビがウロウロしていることでしょう。

 ずいぶん前にパイン島でのこのウミヘビについて書きましたが、本場はこの島。ニューカレドニア本島南部周囲の離島でも観光名所になっているため、日本人観光客でもこの島を訪れたことがある人も多いと思います。僕が行った時もイチャコラしてるカポーや東京の大学の学生らが研修(?)にたくさん来てました。
 島といってもほんとちっこい島で、周囲スタスタ歩けば15分くらいで歩けるんじゃないでしょうかね。まぁ、島の概要はググりでもしたらそこここに出ているので見てみてください。

 さて、こんな観光地然としたチャラい島になぜ僕が行ったのかというと、もうウミヘビを見るためです。そもそもニューカレドニアに行ったのはラコダクやカグーを見るためでなく、このウミヘビを見に行くために行ったのです。
 僕は最初ヌメアのビーチで泳ぎました。クソクソ街の近くというのにサンゴは驚くほど発達してて、ウホッてな具合だったのですが、エラブウミヘビ属Laticauda が上がりそうな(この属はウミヘビですが、休息や産卵のために陸地を必要とします)陸場がまるでなっしんぐ。岩礁があんまりなくて、江の島ビーチみたいな感じなんですよ。こりゃウミヘビいねぇなぁとガックシして、ウミヘビ見られなかったら大絶望だぜよ、と思ってフロントで「ウミヘビ確実に見られるとこあります?」って聞いたらアメデ灯台を紹介されました。
 まぁ、ウミヘビ目当てにニューカレドニアに来る人なんて5,6人くらいしか居ないでしょうから、フロントに「なにすんの?持って帰るの?あなたなんなのですか?」的に質問されました。めんどくさいんで「ウミヘビの研究してた院生です」って言いましたが。ちなみに、ニューカレドニアではウミヘビは保護されているらしく、持ち帰ったりは出来ないそうです。最も、そもそも爬虫類の持ち出しが厳しい島ですし、ウミヘビは毒蛇なんで持ち出したりはしませんが。

 まぁ、そんなこんなで次の日、早速アメデ島のツアーに参加して行ってきました。ヌメアから1時間くらいだったかな?で着く島で、朝行って夕方帰ってくるプランで、個人的には「ウミヘビといえば夜だろうよ。夜まで居たいよぅ」とか思っていたんですが、この島は灯台を管理する家族以外は滞在が許可されないそうです。ぐぬぅ…と不安いっぱいに行ったんですが、いっぱいいた。

Laticauda saintgironsi

Laticauda saintgironsi
 
 もうですね、砂浜にポテポテ落ちてるんですよ。日本では、西表島なんかで調査やっていると、圧倒的に夜の方が活動しているんですよ。もしかしたら人の通わない砂浜なんかでは、結構昼間にも動いているかもしれませんが、とりあえず人がワーキャーいる星砂ビーチとかでは、ほとんど居ない。
 でも、アメデ島にはいっぱいいました。いや、なんもないだだっ広い砂浜にニョロニョロと海から上がってくるんですよ。砂浜を抜けると草むらがあったり木が生えてたりして、そこにウミヘビたちは休息のために向かっているわけですが、いくらなんでも無防備に上がって来すぎでしょうよ。

 なんて楽しい島なのでしょう!と一人大回転で転げまわってウミヘビと戯れていたんですが、一緒に上陸した大学生やフランス人たちが興味を持って話しかけてくる。大学生は良いんですが、フランス語はわかんないですよ。しかも、あいつら英語を話しゃしない。多分自分の国が一番偉いと思っているので話さないんですよ。なにがメルシィ-ボクだ!
 しまいには、なんかすっげぇファンキーな格好したおじいちゃんが「こう持ってポーズしろ」とか「ここにウミヘビを補定しとけ」みたいなニュアンスでアレコレ言ってきました。美女があれこれ注文するならウホホイとやるんですが、なんで僕はニューカレドニアにまで行って爺のウミヘビアシスタントしなけりゃならないのか。
 あ、ちなみに最初に書いたように、このウミヘビはコブラ科に属する毒蛇です。咬まれたら多分死にます。まぁ、それをエヘエヘしながら触っているから多分僕がヘンテコなんですが、命がけのサービスですよ。

Laticauda saintgironsi 

 そんなこんなで、林に避難してさらにウミヘビを撮ってました。この属のウミヘビはこうして陸上活動が巧みですから、木にも登っちゃう。ほんとは木の上に絡まっているウミヘビを撮りたかったんですが、残念ながら見つけられず、足元に来たこのウミヘビちゃんをポージングさせて撮りました。やらせですがこんな風に(多分)居るんですよ!

Laticauda saintgironsi

 そして、見てもらうとわかるんですが、このウミヘビ、オレンジというか黄色というか、何色だ?中国の伝統的な色彩で言う鵝黄色的なおされな色合いなんですよ。近年まで我が国にも分布しているアオマダラウミヘビ L. colubrina と同種とされていたんですが、アオマダラがその名の通り灰青色を基調としているのに対し、本種は鵝黄色。サイズも小さく、色彩の為か顔つきも愛らしいです、笑。
 
 ウミヘビ目的でニューカレドニアに行く人は少ないと思いますが、この地に訪れたら是非彼らを観察してみてください。きっと素敵な佇まいに感動するはずです。触るのはお勧めしませんが。

(使用カメラ:OLYMPUS E-620)
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/08/29(日) 03:33:33|
  2. ウミヘビ Sea snakes
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いつも、ステキな写真をありがとうございます。
久しぶりにコメントさせていただきます。

青い海と白い砂浜とヘビって、なかなか見れない組み合わせですね!
”ウミヘビだから”と言われればそれまでですが、図鑑などでも、陸に上がった写真というのはあまりお目に掛かれない気がします。

私みたいな素人には”コブラ科のヘビ”というだけで、近付く事すら勇気のいる蛇なので、貴重な写真に感謝です♪
  1. URL |
  2. 2010/08/30(月) 19:58:39 |
  3. くろたまナイト #-
  4. [ 編集 ]

> くろたまナイト さん
ヘビ屋にも案外ウミヘビは見過ごされるんですが、ハマると楽しいです、笑。

ウミヘビは種にも寄りますが、大抵は大人しいので、こちらが気を付けていればほぼ無害ですね。まぁ、中にはとんでもないのがいますが。
  1. URL |
  2. 2010/08/31(火) 16:56:44 |
  3. 化野 #-
  4. [ 編集 ]

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