このトカゲモドキは Ziegler et al. (2008) によって記載されたカットバトカゲモドキ G. catbaensis で、これに類似した種 ヒュウリントカゲモドキ G. huuliensis Orlov et al.(2008)も同年に記載されるというちょっとした新種記載ブームが起きていました。ゴニの同属種が見つかることは素敵なことですし(それを種とするか亜種とするかの問題は孕んでいるように思いますが)、そのことを一般に啓蒙するこうしたサイトは重要です。
でも、ヒョウ柄じゃねぇべさ。
「しゃれた」という記述は疑いようのない事実として受け入れざるをえませんが、あなた、これはヒョウ柄じゃありませんよ。ゴニは割と種内の変異が激しく、画像で見ただけですが、この種の他個体の写真を見てみると、やや黄色味が強く、ゴマバラ状に黒斑が入る個体もいるようです。でもヒョウ柄じゃないやい。英語表記ではよく「Tiger Gecko」や「Tiger Banded Gekko」などと体に入るバンド模様からトラ柄ヤモリとされますので、生き物に興味があればこうした表記も見逃さないと思うんですがねぇ。英語版もこのヤモリの記述に「leopard-patterned gecko」としているので、日本語版はこれの直訳なんでしょうけど、パッと見でもヒョウには見えないと思います。海南島に生息する G. bawanglingensis の成体ならば、ヒョウ柄としてもまだ差し支えないんですが。 おまけに「ヒョウモントカゲモドキの新種」という記述には、我が国に同属で天然記念物指定されている連中がいるのに苦笑する他ありません。ヒョウにもトカゲモドキにも興味がない人が記事を書いたのだなぁとがっかりした記憶があります。 一般のニュース報道ならばそこまで言いませんが、天下のナショジオですからね。こうした本質的な生物の側面を記述せず、うわべだけ「新種が見つかったー、保護しなきゃー」みたいな風潮が結構色んな記事の端々に見られるので、たまに読んでて「あぁーあ」ってなります。ともあれ、ヒョウは素敵なのです。