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爬虫類やらその他のイキモノ

ペリパトゥスの誘惑

ペリパトゥス

カギムシの1種 Peripatoides novaezelandiae

 ちょっと前に買ったのですが、どうコメントしていいやら。

 奥井一満氏が「タコはいかにしてタコになったか」に書かれていましたが、「ぜひ一度、お目にかかりたい」というべきイキモノの筆頭たるカギムシ。見たい見たい、と思ってはいたものの、あまりに縁遠いのできちんと調べたことがなかったのですが、南半球には案外広域分布しているグループのようで、アフリカなんかにも割とたくさんいるようですね。写真の個体はニュージーランドは北島産ということで入手しましたが、世界に分布するカギムシの中でもなんでまたこんな辺鄙な土地のものが入るのか。


ペリパトゥス

 有爪動物門という独自の門を構成するなんとも不思議な無脊椎動物で、過去には環形動物と節足動物を繋ぐミッシングリンクだとか言われてました。環形動物と節足動物は体節構造を互いに有するという特徴で、その類縁性を示唆されていたようで、都合のいいことにカギムシは解剖学的また発生生物学的な見地から、上記の2つの系統の動物の形質を入れ子状に有しており、その「見かけの類似性」に高次分類は惑わされてきたようです。近年の分子生物学的手法を用いた系統解析では、カギムシは節足動物に類縁が近く(さらに上位の上門ではこれら2つとクマムシを含めて脱皮動物上門とする場合もあるようです)、環形動物は軟体動物などと共に冠輪動物上門とグループ分けされるようです。
 ここらへんの門レベルの系統になると、僕はもうお手上げなので言及できませんが、カギムシをめぐる分類体系はかなり変革が起きているようで、従来の考え方やあやふやな知識に基づく記述はかなり危ないのかもしれません。まぁ、僕は単純に、こいつの動きを見てて、クマムシみたい!と思ったくらいです。

ペリパトゥス

 えっと、買って1週間ちょいで死にました。ええ、死にましたとも。まぁ、カギムシの裏面とか珍しいじゃないですか。

 ニュージーランド産の本種は非常に温度変化に敏感なようで、ある種のサンショウウオを飼育する様なシステムが必要なようです。それでも、今回一応ペアということで、2個体をacraeoidesさんと共同購入したのですが、雌のほうは5個体幼体を出産するという大仕事をなして死にました。その雌と幼体は20度の恒温室でキープされていたようですが、それでも温度が高かったのか、死んでしまったようです。雌親の方は出産疲れという感じですが、幼体はもうチト育ってほしかったなぁ。

 雄の方は、そんなにいじめたわけじゃないですが、撮影の際、例の粘液を飛ばしまくってくれました。一応クーラーガンガンにかけて、熱の出ないタイプのライトで照らしての撮影だったのですが、写真撮った次の日から動かなくなって、次の日見たらコロンと横になっておりました。うん、これは撮影が原因っぽい…。

 まぁ、写真が撮りたいという目的で買ったのでいいんですよ。もとより、そう長く飼えるような生き物ではなさそうでしたし(一部の大学の研究室では累代飼育が成功しているようですが)、動いている姿を見られるだけで満足という目的の生き物でした。次は現地で見てみたいですねぇ。

ペリパトゥス

(使用カメラ:OLYMPUS E-620)
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2010/06/01(火) 03:17:48|
  2. 蟲 Invertebrates
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

もし次があるなら大型種が良いですねぇ。多分今回のよりは頑丈でしょうから。幼虫も死に難そうですし。
  1. URL |
  2. 2010/06/01(火) 07:38:31 |
  3. acraeoides #-
  4. [ 編集 ]

確か10℃前後で多湿飼育と聞きましたよ。
知り合いの方は冷蔵庫の野菜室で飼育しているようです。

ちなみに粘液て掃除し辛いですか?
なんか杉のヤニ的なものを想像してたんですが…
  1. URL |
  2. 2010/06/01(火) 10:48:30 |
  3. ジーク #-
  4. [ 編集 ]

カギムシ飼いたい...

先日は福岡でお世話になりました!
カギムシいいですねぇ。昔から飼ってみたいと思っていました。ときどき売ってないかググったりしてましたが、最近来てたんですね!油断してました。
温度に敏感かぁ....、職場の低温室(4℃)じゃ低過ぎるよね....。
  1. URL |
  2. 2010/06/04(金) 18:51:40 |
  3. けろき #uXNglXLk
  4. [ 編集 ]

あいや、お返事が遅くなって申し訳ありません。

>acraeoidesさん
もう、大型種も小型種も僕はあんまりかわりません、笑。20センチとかなる奴がいれば別ですけど。

アフリカの茶色い奴がでかくなるんでしたっけ。

>じーくくん
やっぱ、渓流性のサンショウウオを飼育する様なスタイルじゃないと辛いのかもね。中米やアフリカの方だったらダイジョブそうだけど、ニュージーだからねぇ。

粘液はドロドロのアロンアルファみたいなやつだったよ!レンズに付くと多分激しくへこむよ!

>けろきさん
どうも、こちらでははじめまして。こちらこそお世話になりました。
僕もこんな生き物が買えるとは思っていなかったので、見つけた瞬間に某九大生と連絡をとりました、笑。

案外低温には耐えられると思いますが、4℃だと活動も出来なさそうな…とりあえず上でジーク君が10℃前後と言っているので、6℃くらいまでならいけるかと。
  1. URL |
  2. 2010/06/08(火) 23:45:40 |
  3. 化野 #-
  4. [ 編集 ]

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