
オオゲジ
Thereuopoda clunifera 足の多い生き物というのは確実に僕らより偉いので、多足類の多くを僕は先生と呼んでいる。このオオゲジ先生も、僕が森に行く時には、ほとんど皆勤していただいている。ハブムカデ先生は最近めっきり御姿を現わしになられない。たまには、挨拶させて下さいよ。
さて、そんな先生だが、沖縄諸島で見られるオオゲジは本州のものと比べて、やたらとデカい。レッグスパン(足を広げたときの大きさ)が、本州のものでは手のひらに収まる程度なのに対して、沖縄の先生はかるくこれを超える。体サイズの顕著な違いは容易に見て取れるが、それ以外の形質は素人目に見たら本州のものと沖縄のものとでそう違いがないように見える。琉球列島のオオゲジはヤマシナオオゲジ
Thereuopoda jamashinai としてべっこに分けられているようだが、オオゲジのシノニムとする場合も多いようだ。Acta Arachnologica の「日本産ゲジの種」 (高桑, 1943)を見てみると、オオゲジ属の Diagnosis は多くが棘の有無程度だったため、ちょっとこれでは判断しづらい。原記載を見れば、こうした生物の分類に重要な生殖器の形質などに関する記述があると思うが、シノニムとされている場合もあるってことは、そうした点においても違いがなかったのかもしれない。
ただ、こうした地表性の生き物がトカラギャップを隔てて、全国的に同一種であるようなことは想像しづらく、分子と形態の組み合わせで、新しく分類しなおすとクリアに分かれるかもしれない。同じく多足類で、オオムカデ属
Scolopendra もよくわからない。ヤンバルなどで見られる通称「ハブムカデ」と呼ばれる翡翠色をした大型のムカデは、現在タイワンオオムカデ
S. morsitans とされる場合が多いようだが、これもたぶんちきんと調べられていないだろう。また、琉球列島全域でトビズムカデ
S. subspinipes mutilans 一亜種というのももっと分けられる気がする。とりあえず、中琉球と南琉球のトビズムカデって全然違いますもの。
(使用カメラ : OLYMPUS E-620)
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
- 2010/04/12(月) 15:11:09|
- 蟲 Invertebrates
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| コメント:7
はじめまして、美しいお写真をいつも楽しく拝見させていただいております。
アルバーティスの分類の記事など、非常に勉強になりました。
南方のオオゲジ先生、デカイですよね。
私は友人から屋久島土産としてもらったことがあります。
残念ながら乾燥死させてしまいましたが、付属肢が尾角から大顎に至るまでほぼ同形で、意外につぶらで可愛らしい眼をしているなど、非常に興味深い生き物でした。
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- 2010/04/12(月) 21:44:48 |
- kozu #KnHW2vQ.
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南のオオゲジ、でかいですよね。
昔、岩陰で共食いしている先生方を見付けた時は中々ショッキングな光景でした。
トビズムカデ類はボルネオで僕の足をおもいくそ咬んでくれて以来、愛憎こもごもですが、ハブムカデ(ヤンバルオオムカデでしたっけ?)は綺麗ですよね。割と珍だし。
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- 2010/04/13(火) 03:54:19 |
- acraeoides #-
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>kozuさん
はじめまして。ブログのご閲覧ありがとうございます。
僕も初めて沖縄に来た時、こっちのドでかいオオゲジを見て「なんちゅうところだ!」と驚愕した記憶があります。
オオゲジ、あんな外見の割には飼育は困難なようで、まわりで長期飼育を聞いたことがありません。一番のネックはスペースの問題らしく、オオゲジに温室の半分くらいを与えることのできる猛者のみが長く飼えると思います。
>acraeoidesさん
でかいですよ。もう何を考えているんだか分りません。
先生たちの共食いは僕も見たことがあります。しかも、道のド真ん中で、最初束子か何かと思いました。集団で洞穴にいるくせに共食いなどしないでいただきたいですね。一度、先生たちが永遠に出てくる小穴を見つけたことがありますが、中の状況がコズミックホラーだと思いました。
- URL |
- 2010/04/13(火) 22:53:37 |
- 化野 #-
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ゲジゲジってこんな顔してるんですね。
ムカデやゲジの類は怖くて近づけないので、細部まできちんと見たことがありませんでした。
何だか可愛いですね。
今度見つけたら、勇気を出してつかまえてみようと思います。
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- 2010/04/19(月) 19:28:38 |
- bomersnake #mQop/nM.
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>bomersnakeさん
中々オオゲジの顔なんてじっくり見る機会がないですが、こういう顔をしているのです。何だかコオロギを凶悪にした感じ?
あんまり近づくと急にわしゃわしゃと疾走します,笑。そして、掴むとポロポロと肢を自切します。なんて気持ちのいい生き物でしょう。
徳之島でオオゲジが蜘蛛の足食べてるとこ見ましたが、この先生って、ムチみたいな肢の先で餌をくるくると巻いて持って食べるんですよ。そんな点も先生たる所以ですね。
- URL |
- 2010/04/20(火) 11:30:07 |
- 化野 #-
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