昔、僕はボア・コンストリクターを飼っていた。亜種はコモンボア
Boa constrictor imperator で、いうなれば最も庶民的な値段設定のボアコンなのだが、広い分布域を反映してかなり個体差もしくは地域差があるため、ボアコンの中でも相当選ぶ楽しさがある亜種でもある。
規制が入る前はそれこそ選びたい放題入荷していた本亜種だが、不幸な事件のせいで危険動物入りしてからと言うものの、その流通数は激減した。まぁ、それなりの大蛇であるため気軽に飼うものではないかもしれないが、それでもボアコンは大蛇と呼ばれるヘビの中で最も飼育に向いた種類であろう。
ボアコンと同程度に大きくなり、かつ凶暴になる事が多いキューバンボアやパプアンパイソンが規制されず、この素晴らしいボアが規制されているのはお笑い種だが、んなこと言っておいてそうした種類が規制されるとマズイので大蛇飼いはひっそりと慎ましく、あまり表に出ず飼うのが好ましい。それにしても、特定動物の項で「くさりへび科」のようにひらがなが混じっているのはどうしたものか。いくらなんでも意味がわからない。しかも、和名だけ書いておいても、特にアナコンダとかはどの種類を指しているのかも分らない。多分グリーンアナコンダ
Eunectes murinus を指しているものと思われるが、そうしたら近年このグリーンから新たに種分割された
E. beniensis や
E. deschauenseei は飼えるということなのか。それなりの責任を飼育者に負わせる様な規制なのだから、役所の方ももっと厳密に内容を検討してもらいたいものである。デスクワークだけで生物に関わっていくなぞナンセンスの極みではないか。
それはそうとコモンボア。この個体は規制前から飼っていたのだが、僕の不注意であっけなく死なせてしまった。ボアコンのような丈夫な種類を落としてしまうところに僕の飼育者としての底の浅さが見えてしまうが、それ以降(というか以前からも気を使ってはいるが)は飼育にはかなり気を使い、最近では半月家を空けても大丈夫な奴らで僕の愉快な仲間たちは構成されている。さすがにヒガシアフリカネコツメヤモリ
Homopholis fasciata なぞは心配だったが、帰って来てみるとなんてない顔をしていたので、普段から状態良く管理しておけば爬虫類は飼育動物としてメチャメチャに丈夫な部類なのだ。
僕のボアコンの一番の好みはアラベスクボアなのだが、どこがどうアラベスクかは分らないが、あの細かいドットの入ったボディーには魅せられる。この飼育していた個体も各サドルの間にペッパーが小気味良く入り乱れ、側面の模様も細かくちょこっとアラベスクボアを髣髴させた。
こいつが死んでしまった時はかなりの喪失感だったが、こいつは僕に一つ教えてくれた。それは生物の無常観。ある日ハタと気づいて生き物に対していい意味でそんなに思いいれしなくなった。勿論大事に飼育はするし、欲しいものは欲しい。しかし、自分の手にある生物も結局は僕から離れていく事を考えるとある程度の距離感というか、達観したものの見方が出来るような気がした。そして、仏教でいう執着からの脱却にほんの数ミクロン近づけた気がした。
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2008/07/05(土) 16:06:59 |
ボア・パイソン Boas and Pythons
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| コメント:6
ボアコンはとてもいいペットになりうる。
ネクタイにでも出来そうなエレガントでキレイなものから渋い存在感のあるものまで。
ボアコンを初めて見たのは今から16年ぐらい前です。 アオジタやシシバナぐらいしか手を出せなかった時で、ボアコンストリクターコンストリクターって2回同じ名前が並んでいたのが印象的でした。
今、ボアはエメツリがお気に入りだが、触るものじゃないので緑色のボアコンが欲しい。真緑色のヤツ。
ボアコンは大きくなり過ぎないものなら小学生でも飼える「危険じゃない」ペット。 美的面からいっても、教材面からいっても最高の種。 大人しくたくましい、小学生を敵から守ってくれ、友達も出来、いじめもなくなる。
URL |
2008/07/05(土) 17:43:00 |
Godspeed #V0sVL5lk
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ボアコンが危険じゃないと言うのは少々語弊がありまして、このブログの最初でも書いたように、2m程度のボアは人を殺傷する能力を潜在的に秘めています。
それでもボアコンが最も飼育に適した大蛇と書いたのは、まぁ僕の経験則が大半なのですが、その他の同程度に大きくなるヘビと比べた場合はるかに温和で扱いやすいと感じたためです。
小学生、もっといえば未成年がこの様な大蛇を扱うのは、僕はあまりオススメできないかと思います。親の管理下にあるならばいいですが、全くの単独で小学生が大蛇を扱うのはやはり危険で、それゆえ法律の選定は一部では正しいかなと思っています。
しかし、あの法律は全くといっていいほど飼育者立場からの視点が欠けていますし「飼うにはここをこうしましょう」という折り合いが少なく、あからさまに「飼うな」という姿勢が見えて不愉快ですね。ボアコンやカミツキガメの様に多数の飼育者が想定されている種に関して先の事を想定せず、お役所仕事で行なってしまったのは大きな愚行と思います。
まぁ飼育者側も最近の大衆化に伴ってモラルの低下が著しいですからあまり大きな声で言えないのが現状でしょうが。
URL |
2008/07/06(日) 20:50:10 |
化野 #-
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そうですね、小学生にボアコンは言い過ぎました。 m(==)m
先日、たまたまイギリスのフォーラムで大蛇が欲しいんだけどボアコンかバーミーズかレティックかドワーフレティックのどれがいい?って投稿がありました。
投稿したのは12歳の男の子。
みんなにNo!って言われてました。チルドレンパイソンにしておけって言われてた。苦笑
それで男の子プライドを汚されたのか「12歳をバカにするな!」って!
「何歳ならいいんだ!」ってキレてた。「ボクはボアコンがホシインダヨ~!」
うんうん気持は判らんでもない。 いい蛇だからな。悪くないです。
迷惑をかけないなら何飼ってもいいと思うがそうもいかず。 絶対にとんでもない飼育者が出てくるから。
そいつが足を引っ張らねばいいだけです。
URL |
2008/07/07(月) 15:46:30 |
Godspeed #V0sVL5lk
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12歳でレティックやバーミーズは…(笑)
てか、この2種は成人でもおいそれと扱ってはいけない種ですね。できれば動物園で見たほうがイイ種ですな。
まぁ好きな種を飼えばいいと思いますが、自分の力量と言うのも見極めるのは大事でしょうね。12歳の僕は軍隊にでも入ってムキムキになってからモンスターパイソンを扱えばいいと思います。
僕が実家にいた頃通ってたショップは、兎に角店主が偏屈で、客を見て生体を売るような方でしたので、へラッと来て「ビルマくださぁ」なんて言おうものなら小一時間は説教くらう。でも、こういったことって意外と大事で、大型種に関しては売る側の判断がかなり大きいと思うんですよね。誰彼構わず売ってしまっている現在の体制がおかしいんであって、やっぱ爬虫類屋は偏屈でもきちんとした理をもっている人が行なうべきだと思います。
ショップとこちらの信頼関係があってこそ、大型種って売買されるものかと。
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2008/07/08(火) 05:32:28 |
化野 #-
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爬虫類飼育者にモラルなんか求めてもしょうがないから規制は仕方ないと思う
そんな僕も爬虫類飼い
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2012/07/31(火) 22:52:10 |
名無しさん@ニュース2ちゃん #-
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しょうがないにせよ、形としてもモラルを問うていかねばいけないでしょう。
現状での規制はほぼ最高レベルだとは思います。これで事故が起きても、もうそれは個人の責任に還元されるんじゃないでしょうかね。
もうひとつ懸念は、爬虫類というものをメディアで受け取る、趣味人じゃない人間のモラルも現在は即時的に問われていく時代なんじゃないかと思います。
批判する側は絶対正義や正論を掲げているつもりでも、客観的に見てみるとそれこそモラルを欠いた言動ではないのか、と思うことがままあります。
まぁ、どんな時代になろうとも爬虫類は飼いますよ。
URL |
2012/08/03(金) 23:08:31 |
化野 #-
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