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クビモンヘビ!Plagiopholis blakewayi … ?

Plagiopholis blakewayi ?

クビモンヘビ Plagiopholis blakewayi ?

東京でワタクシめのお相手して下さった皆々様ありがとうございました。特に変態二大巨頭の御二方、僕は到底及びませぬ。御二人してシャンバラを目指して下さいませ。たぶん未記載のラットとかいますよ。

 僕はかわゆいお蛇を紹介したいと思います。といっても、これまた先のオオカミヘビに続く「このヘビいったい何なんだよぅ」シリーズでございますよ。これを手に入れた経緯というのも、いつも通り「アダシノさん、コレコレこういう蛇が入ってますわ。御一つ如何か?」という連絡を受けまして、先のオオカミヘビ二種については矢も盾もたまらず「欲しいです欲しいです。いますぐ欲しいです。取りあえず画像下さい」と、まぁまだ画も見ずに欲しいデス!と連発してしまった次第で、送られてきた画像たちの中に「よくわからんのがいますんで、同定してください」てなものが含まれとりまして、その中にこのおヘビがいたわけです。
 その画像というのが、ケータイの写メの超ちっさいもので、開いてみると何やらコモチミミズトカゲのような体型の寄生虫の様ないかがわしい物が写っている。初め見た個体が黄色っぽいもので、その時は産地インフォも何も聞いてなかったものですから、こんなの Oreocalamus しかいないっしょ!と思って相手方に伝えたところ「ミヤマクキヘビでしたか~!」「みやまくきへび?あぁ、和名はそうなってますな。たぶんそうですよ、ガッハッハッ」てなやり取りになったのですが、もう一枚送られてきた画像が上の写真の個体で、赤っぽかったんですよ。そして一応インボイスではクビモンヘビで入ってきているというじゃありませんか。
 クビモンヘビ~?としばらく考えて、そういや先日行った台湾にもその名の Plagiopholis ちゅうヘビがおりましたわいなと思い立ち、しかも赤い個体なんて Oreocalamus では聞いたことなかったですからワタクシの同定への自信が砂上の楼閣のようにガラガラと崩れ落ちてきたのです。しかもその後、一応どこで捕れたか大体分かりますか?と聞くと雲南省という答えが。
 ミヤマクキヘビおらんがな!クビモンヘビじゃないか!と汗顔の至り、否、紅顔の至りに至り、このままでは幸島に行って芋を洗うサルの群れに交じりミーム伝達に尽くさねばならぬ羽目になってしまいますので、一念発起してこのヘビをば購入し、その同定をしようじゃないかということに至ったわけです。

Plagiopholis blakewayi ?

 で、数日してかのオオカミヘビ達と共にこのヘビが届いたわけですが、 見た瞬間まぁぁミヤマクキヘビじゃあない。かといって、クビモンヘビ属の中でもいっちゃんメジャーなP. styani でもない。P. styani はですね、割と画像検索してきても出てくるクビモンでして、ほんとに同種かどうかは分かんないですが台湾にも生息しています。大体画像が簡単に拾えるのが本種くらいしかおらず、他に四種いるクビモンヘビはまぁまず出てきません。
 P. styani の嫌なところはですね、色彩型に割と多型が見られることで、それこそミヤマクキのような明るい体色のものから、写真のように赤っぽい体色をしたものもいて千差万別なわけです。ただ、この種の特徴というか、雰囲気的な識別点として、顔がヒバカリに似てるんですよ。その要因として恐らく上唇板が白く、その周囲が黒く縁取られるからで、吻端もわりあい丸みを帯びていますんで、印象が似てくるんだと思います。で、写真のヘビですが、兎にも角にも顔が尖っちょる。P. styani とは全然似てない。どのくらい似てないかというと滝川クリステルと山本モナくらい違う。

 これはステニィじゃないなぁ、ということで、次の検索ですが、まぁ、きちんとステニィと違うよっていう識別点として、やっぱり上唇板がネックになっていて、ステニィでは上唇板が6枚あり、各鱗の大きさは1-4枚目までほぼ均一で、5,6枚目が長方形に肥大しているのが観察されます。しかし、写真の個体は、1枚目の写真が分かりやすいですが、上唇板は5枚で、後方の鱗は特に4枚目がペンタゴン状に肥大しております。ちなみに体中央部の体鱗列数は恐らくすべての種で15枚であり、これは識別に使えません。腹板数はステニィがもっと少なく大体102-122枚、ちなみに写真の個体は数えてみたところ121枚で、これに当てはまる様なクビモンを検索したところ、P. blakewayi というものが該当しました。分布(趙爾宓,2006)を見ても貴州、四川、雲南とジャスト。
 一部ではP. blakewayiP. nuchalis のシノニムとして扱われることもあるようですが、 もともと P. nuchalisTrirhinopholis (BOULENGER, 1893) という属に置かれ、その時の記載情報を見てみても P. blakewayi とは異なるものでしたから、それぞれは別種でいいんでないかなと僕は思っています。ちなみにクビモンヘビ属のタイプ種がP. blakewayi ですな(BOULENGER, 1893)。

Plagiopholis blakewayi ?

 とまぁ、そうした検索がありまして、一応この個体はP. blakewayi じゃろかいと思っているわけですが、なんせほぼ文字だけの検索で同定というのは何となく収まりが気持ち悪いんですよ。P. blakewayi ですよ~、という蛇の写真を、僕はすつかり色の抜けてしまつた液浸標本のものしか見たことがないので、生きているこの種の像というのが結局のところわからないのです。。もしP. blakewayi を調べていてワタクシの画像がヒットした場合は60パーセントくらいの信頼性で判断して下さいませ。

 種の落とし込みは不安があるものの、属としては間違っちゃなかろうということで、この属の主食たるミミズを掘じくって探す毎日です。体型を見るに、冒頭でも書いたようにほとんどコモチミミズトカゲですが、そこはヘビらしく舌も出すし、蠕動運動なんかで進んだりはしない。しかも、このヘビ触るとですね、ヒメハブだとかバイパーボアだとかがするように、シュッと体を丸めて頭を横殴りにして飛んでくるんですよ。でも、まぁ別に口を開けて咬みついてくるでもなく、バシバシ頭をぶつけてくる威嚇のようなので、脳震盪起こされちゃかなわんなと思って極力触らないようにしております。ただ、何気に手触りがいいんですよ。サラサラフニフニの感じで、これがせめてサンビームヘビくらいでかかったらさぞかしモチヘビとして後世に語り継がれたことであろうと思います。
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  1. 2009/11/09(月) 07:59:14|
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