ガーデンツリーボア
Corallus hortulanus
種小名が「庭師」を表す
Corallus 属のタイプ種。その種小名の来歴は、民家の軒先にもよく表れるからなのか、庭に咲く花たちのように多彩な色彩を持ち合わせてるせいなのか、何なのかは知らないが、別称の Amazon Tree Boa よりかは趣があって良い。

Henderson氏の著作を読むと、ある程度色彩型の分布は偏りがあるような推測がなされてるが、広大な分布域を誇る本種で、そうしたアプローチはいささか無謀な気がする。
cookii や
grenadensis の様な島嶼個体群ならば検証は出来ようが、広大なアマゾン相手では果たして?
たとえば西表島などで、人の目にはハイポのサキシマハブが見つけやすく、通常体色のものがかなり隠蔽的になっている点を考えると捜索の段階で相当のバイアスがかかってしまう気がする。

なかなか現地にも行けないし、行ったところで見つからない場合もある(僕が行った時は簡単に見つかるだろうと思っていたが、ただの1匹も見られなかった)ので、こんな事を考え出すとキリがない。しかし、それ故多型を持つ種は面白い。
そういえば、クックツリーボアとして
cookii が販売されていることがあるが、あれはほんとに
cookii なのだろうか。辺鄙な島嶼の個体群が商業用に出回るなどあまり考えられないし、外国のマニアックなフォーラムを覘いても「本物のクック探しています」てな書き込みがあるくらいだから、あちらでもそう出回っていないのかもしれない。
上の写真の個体も実は「クック」という名称で手に入れたものだが、きちんと調べていないので(ツリーボアはハンドリングには向かないのだ!)確証が持てないうえに、なんとなく鱗相を見ていてただの
hortulanus であるように思える。爬虫類の場合採集地が明記されて販売されることなど稀だし、昆虫の様にあまり信用が置ける気がしない。そもそもこの世界では、ほとんどの場合そうしたことに興味が無いか、種類さえもろくに調べずに販売されていることもある。最も現状では採集地を販売者に求めるのは酷な気もするが、そうしたことに重きを置かれなかったという歴史は残念でならない。
個人的に似たような本質を感じる趣味業界の一つ、古美術商でそうしたことに無頓着だったら、ほとんどの場合馬鹿にされるか、間違っても専門店という認識はされないだろに。昆虫標本にしてもラベルのないものの価値というのは激減するだろうし。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
- 2009/09/24(木) 14:31:05|
- ボア・パイソン Boas and Pythons
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