チャイロオオカミヘビ
Lycodon effraenis 見るも無残!憧れのヘビは死着という憂き目に。ちょっと発送の仕様があまりにもデタラメだったので、それが要因だと思うと残念でならない。
本種はマレー半島やボルネオ島など割合広範囲に分布するオオカミヘビ
Lycodon の1種。国内への商業流通は、恐らくこれまでに1度きりだと思われる比較的珍しい部類のヘビではあるが、まぁ大抵の方には小汚い小さなどうでもいいヘビではあるだろう。
しかし、僕がこのヘビに興味を持ったのはその色彩で、ある1つの妄想を抱いていたからだ。
写真を見てわかるように非常に特徴的な色彩をしたオオカミヘビで、写真の個体は亜成体と思われ、ちょうどこの種の幼蛇・成蛇どちらの特徴も有しており、その妄想を検証するのには丁度良い。
オオカミヘビの多くは有毒のアマガサヘビ
Bungarus に擬態しているものが多く、この種も例外ではないだろう。この種が面白いのは、僕の見解で少なくとも成長ステージによって2タイプの擬態をしていると思われることである。
まず、こいつの幼蛇期なのだが、写真の個体と異なり、例えば
L. subcinctus のように白黒のバンドパターンを有している。この色彩は同所的に分布する最凶のアマガサの名もある
B. candidus に類似し、モデル種のバンドの間隔が他のアマガサに比べて比較的広い点を考えると、おそらくこの
Lycodon 2種はこのアマガサに擬態しているものだと思われる。ただし、頭部の模様は背面から見た場合チャイロオオカミヘビの場合白い帯が左右に分断され、
L. subcinctus は頭部全体を覆っている。成長に伴いこの色合いは薄れ、モデルと類似させているところがさらにニクい。
チャイロオカミヘビはさらに成長すると、その白黒模様は変化し、その名の通りバンド模様は薄れ、茶色っぽい色合いになってくる。ただし、こうなった後でも本種は擬態精神を失っていないようである。
腹面の写真を載せてあるが、背面のバンドに対応して腹板に黄色いバンドパターンを有している。このように派手な腹面を持つ意味というのを考えてみると、これまた同所的に分布する
Bungarus と同じコブラ科の
Calliophis intestinalis 種群のバンドパターンと一致する。
Calliophis intestinalis の場合背面は概ね非常に地味なストライプ状の模様で、バンドパターンは腹面のみに見られ、外敵に対して威嚇をする際、ひっくり返ったり、上体を反らすなど、この腹面を強調するような動きを見せるらしい。
こうした動きは他にもオーストラリアのバンディバンディなどでも観察され、いくつかのコブラ系統には先天的に有する形質なのかもしれない。
おそらくチャイロオオカミヘビはこうした形質を擬態に持ち込み、行動などにもそれが表れるのでは?と推測され、今回の入手でそれが検討できるのではないかと妄想していた。つまり、この種は幼蛇の頃は形態的に
Bungarus 、成蛇になると形態に合わせ行動も
Calliophis に擬態しているのではと思っていた。 死んでしまってはそうした行動面までは検討できぬから、今回の死着は残念至極といったところ。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
2009/09/16(水) 22:46:28 |
Dinodon/Lycodon
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| コメント:3
>baikadaさん
ヒャンというより、やはりCalliophisのパターンですね。
ヒャンの腹面のパターンの意味はよくわからないのですが、尾を上げる動作はするようなので、行動面での共通する形質はあの手のコブラ系統で持っていそうですね。
URL |
2009/09/20(日) 15:05:51 |
化野 #-
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ヒャンはだいぶ前にCalliophisから分類されてました(^^;
失礼しました。
惜しむらくはこのオオカミヘビの行動が見られないところですね。残念。
URL |
2009/09/20(日) 18:40:17 |
baikada #-
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