モイラヘビ
Malpolon moilensis
類縁関係は全くないものでも、タクソンを超えて彷彿されるイメージというものはある。このモイラへビもその類で、誰もがこのヘビの顔を見てなんとなく鳥類を彷彿させるらしい。尖った吻端はクチバシヘビやムチヘビの類などその生息域、生活様式などを越えていくつかの属でも見られるが、その要素に加えモイラヘビは突出した眼上板とやたらと輝かしい瞳がより鳥っぽさというのを助長させるのだろう。
ただし「じゃあなんの鳥に似てんの?」と考えてみると、これがパッとは出てこない。そもそも概念としての鳥が各パーツで感じられるだけなので、そういったものかもしれないが。

この目が示すように、かなり視覚には頼っているヘビで、飼育下でも上体を上げ周りを見渡している様子が観察される。活動パターンは外気温や天候にかなり影響されるようで、GAUTHIERS (1967) は4月終わりから8月半ば、そして冬季の大半は昼行性傾向が強く、それ以外の季節は夜行性傾向が強いと報告している。ただし、飼育下では同時期に昼夜とも活動している姿は見られ、単純に腹が減ればウロウロしだすようではある。朝方など日光が差し込むとバスキングしているような姿を見ることもある。

コブラダマシの名があるように、威嚇時には頚部の骨を広げ
Naja がフードを広げたような姿をとる。同所的にはアスプコブラ
Naja haje が生息し、こいつの場合フードの背面には眼状紋はないので、モイラヘビがフードを広げた姿はその擬態に違和感がない。最もモイラヘビ自体は大きくなって精々1mを超える程度の大きさにしかならないし、顔つきはまるで違うので判断はすぐにできる。
現地の動画を見るとかなり動きは激しく、本物のコブラのように立ち上がって威嚇する様子も見られるが、国内に入ってくるものの多くがそうしたアグレッシヴサを欠いているように思う。スペースと気温の問題かと思って、60センチほどの個体を大きめの衣装ケースに入れ、砂、岩などを配し、比較的高温で飼育してみてはいるが、今のところ首すら広げる様子もない。あの姿はやはり現地ならではといったところか。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
- 2009/09/13(日) 23:23:53|
- ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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| コメント:2
クチバシヘビは鳥というよりはミーアキャットに似ているな、というのが最近の持論です。
やはり頭部を上げ下げして周囲を伺う素振りをしますが、アレが本当にミーアキャットに似ています。眼窩を走るアイラインもそっくり。
でもミーアキャットは鳥に似ているだなんて誰も言わないんですよね。
これにはなにがしか不公平なものを感じずにはいられませんよ。
- URL |
- 2009/09/14(月) 20:45:42 |
- Ridleyi #-
- [ 編集 ]
なるほど。仕草との収斂性も面白いですね。ただしミーアキャット自体は、どこかタレントの勝俣を彷彿させるので、僕は好きではないんですよね、笑。
なので、ミーアが鳥に似ているという発想はなかったです。あれは勝俣です。
- URL |
- 2009/09/16(水) 07:31:52 |
- 化野 #-
- [ 編集 ]