タイワンハブ
Protobothrops mucrosquamatus
先日再び恩納村某所でタイワンハブと相まみえる。
本来タイワンハブは名護の為又周囲でのみ帰化が確認されており、国道58号線を超えた場合(名護周囲で58号線を超えて南下したという報告はまだない)、恩納村にまで広がるには沖縄県衛生環境研究所の予測ではそれなりの年月がかかるものであった。しかし、06年から恩納村で大量のタイワンハブが捕獲される事態となっており、どうも人為的な要因を漂わせている。名護と恩納村の2点の間で本種の捕獲が報告されていないということからも、突如として恩納村で本種が広まったと考えられるだろう。
※訂正国道の南側で1個体が捕獲された例がありました。
参考文献「外来種ハンドブック(2002)」
この写真の個体はどうも先月取り逃がした個体のようで、同じ場所にカエル狙いで陣取っていた。その場所には顔なじみになったヒメハブもよく姿を見せていたが、この日はこいつのみ。
随分と痩せたメス個体であるんで、ひょっとしたら時期的にも産卵後だったのかもしれない。可哀そうだが、帰化種であるし、見過ごすことはできず、殺して持ち帰る。

こちらは、その先月に同フィールドで捕獲した個体。小振りのメスで、林床を徘徊中であった。腹部が膨れていたので、胃内容を保持していると思い、強制嘔吐。やや消化が進行したワタセジネズミと思わしきものが得られた。
タイワンハブは世界でほぼ初の毒蛇帰化例(オオガシラなどの弱毒種は除いて)であるらしく、生態系に与えるインパクト以上に、直接的に人に与えるインパクトの方が注目されている。よって分布や行動パターンについてはかなり調査が行われているが、胃内容などに関する生体が在来の自然に与える影響への調査はほとんどない。それは同様に帰化が確認されているタイワンスジオとて同様である。
捕獲のかなりの部分をトラップに頼っているため、回収時に胃内容は消化されていることがほとんどであるし、そもそも餌を探して徘徊している個体がかかる率が高いだろうから、胃内容を持っていないことの方が多いらしい。
外来種の問題を論じるときは、在来への動物群へのインパクトについての議論は欠かせないだろうから、少しでも貢献できるように今回得られたデータは雑誌に載るように執筆中。
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テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真
- 2009/08/28(金) 18:49:11|
- クサリヘビ Vipers
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