Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

或る果物についての手記

ハルマヘラパイソン

 今日から帰福。

 更新や返答は少々後になると思うので、最近小生の身の回りの出来事など記してみる。

 

 皆様はカニステルという食べ物をご存じか.

 蟹捨てる、でもなく、蚊煮捨てる、でもなければカタカナでカニステル。ポリエステルとかそういうエステル化合物のような化学ちっくな代物でもなく、果物の1種である。

 それを先日食した。

 小生はこれまでセロリ、ニンジン以外の食べ物は平気で食えると思っていた。かつて一部の方々には小生は大のカレー嫌い男子という認識があったと思うが、ここ最近は自発的にカレーを購入するまでに食い馴れた。カレーは何より手軽で安価なのだ。食い馴れれば食費が浮く。おまけにタイから来た留学生の作るグリーンカレーがまことに美味で、これが昨今小生の大好物の一つとなりつつある。カレー眼鏡男子と呼ばれる日も近いやもしれぬ。

 ピーマンもかつて小生の苦手とする食物で、大学1年まで毒草の一種と思っていたが、ハンサムな親友の献身的な啓蒙と強制給餌のおかげで最近は野菜炒めにピーマン抜きなど考えられない味覚感覚にまでなってしまった。ピーマンを可食できるようになったのは小生の食史において輝かしい軌跡として後世に伝えられるだろう。
 しかし、その陰にはひとかどならぬ小生の苦労もあり、かの親友は端正な容姿とは裏腹に感情が高まるとトレインスポッティングのベグビーよろしく、ボカボカと人を殴る凶暴性を有しており、小生のピーマン修行中にもその性質が遺憾無く発揮されたことは追記しておこう。

 その他、珍味や奇食ともとれる様々なものを食ってきたが、現在において小生を跪かせられるものはセロリ、ニンジンの毒草ただ2種のみで、これはもうゼネラリストの栄華を極めたと言っても過言ではないかと思われた。

しかし、ここで難敵が突如として登場した。


カニステルである。


 この珍妙な名称の食物はアカテツ科オオミアカテツ属に属する樹木の果実で、その形状から散弾の弾体 カニスターが語源と言われている。イメージが湧かぬ方は黄色い永沢君をイメージしていただければよろしい。

 かような果実が先日研究室でふるまわれたわけだが、先輩諸氏がパクパクと食しているのにつられ、私も名前の珍妙さやカットされたマンゴーにも似たかの果物の小片に魅かれ食してみた。


 人は味覚の4割を視覚に頼っていると言われている。高校時代よくやった悪意のない悪戯の一つに、コーラの缶に牛乳を入れて友人に飲ませるといったものがあるが、これは味覚の大半が実は視覚に依存していることを証明する一つの実験であったことはご承知の通りであろう。
 暑い夏の日、喉の渇きを癒すためコーラと思っていきよい良く喉を鳴らしその缶を飲み始めた者の実に九割が次の瞬間、生ぬるい白濁した液体を口内から噴出していたものである。その後被験者は怒れるベグビーとなり、ボカボカと小生を殴打したことは大いなる研究に対するごく些細な代価と思って甘んじて受けとめた。

 かように、人はまず視覚情報で食物を味わい、それとのギャップがあった時は己の味覚より脳が視覚によって下した判断に従う場合のほうが多いのである。

 それでカニステル。

 曲がりなりにも果物と呼ばれている代物である。おまけにカットされたその容姿はいかにもフルーツ然としている。私は安心してその物体を口に運んだ。

 口に入れた瞬間私の脳が下した判断は「歯クソ」もしくは「流しの三角コーナーに詰まった残飯とか蛆とかとかなんとかがウジュウジュネチョネチョしたクトゥルフ邪神を喚起させる不定形のもんがらもんがら」であり、その壮絶な味、食感にコズミックホラーを感じた。

 不味いのなんの。なんだあれ!こんなもの食うのは馬鹿だ馬鹿。蟹も捨てるわ!

 と悪態をつき、先輩諸氏の手前上吐き出すわけにもいかず、水で固形のまま胃の腑に流し込んでやった。そんな小生を尻目に「おいしいのにー」と平気な顔をして2つ3つと続けて食らう先輩諸氏とは本質的に理解でき得ぬ存在なのかと思い悲しみが芽生えた。

 こうして小生の毒草リストに「カニステル」という新たな1ページが加えられることとなった。


 後日談

 というか次の日くらい。小生は車中でラジオを聴いていた。ラジオではたぶん可愛い20代前半の女子お二方が他愛のない己の日常や六億光年くらい離れた惑星の炭素含有量くらいどーでもいいリスナーたちのお便りを紹介し、時たまJポップを流し、あぁラジオっていう時間を演出していた。
 そんな番組のトークでふいにカニステルの話題が登場した。なんでも片っぽの女の子は最近これを初めて食したらしく、その感想を可愛らしい声で述べていた。
 「ふん、あんな毒草食べてさぞかし悶絶したことだろう」とデロデロとカニステルを吐き出すふんわり服装の可愛い系の女子(21)髪型ベリーショートを妄想してると「食感がチチカカしました」とかのたまいはじめた。

「食感がチチカカしました」って

意味が、分から、ない。

 カニステルの食感はあくまでネチョネチョかイア!イア!であり、例外は悉く却下である。

 大体チチカカってなんだ?ペルーか?ペルーの湖なのか?ミズガエルなのか?それとも民族系雑貨屋か?あそこで買ったシャツを何も考えんと他の服と一緒に洗濯機に放り込んだら色移りしたよ!って問い詰めてやりたい。ついでにアレを食べてそんコズミックなコメントが出来る彼女とはお付き合いしてもらいたい。

追記

 後に聞いた話では「ちちかか」とは琉球の方言で「ちーちーかーかーする」というパサ付いた食べ物が飲み込みにくい時に使う用語であるらしいことが判明した。いずれにせよ、かようなかわいらしい用語をかわいらしく発音できる彼女とは再度お付き合い願いたいものである。
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テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真

  1. 2009/08/01(土) 05:19:13|
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