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アリノハハヘビについて

Madagascarophis meridionalis

ニビイロアリノハハヘビ Madagascarophis meridionalis

 この黄金に輝くヘビはペットトレードでは度々コガネアリノハハヘビと称され M. oellatus として流通している。しかし、そもそも ocellatus 種は写真の個体とはまるで異なる斑紋および色彩パターンを持ち、またもう1種のアリノハハヘビであるゴノメアリノハハヘビ M. colubrinus とも全く異なる。

 ぼくは最初、この現物を実見するまで「ゴノメの色彩多型のひとつだろう」と思っていたし、このブログでもそう書いた。実際ゴノメは非常に斑紋と色彩パターンが変化に富んでおり、かつては5亜種にわけられていたくらいである。ただし、これらの亜種の有効性は近年、Zoltánら(2006)の研究によって否定され、すべてcolubrinusのシノニムとして抹消される傾向にある。

 たとえば同所的にゴノメの場合、僕が以前載せたような地味なカラーの個体と同時に黄色い体色の個体が見つかったりしており、それらは形態的、遺伝的に全く区別はされないらしい。まぁ、同所的にいるもので色が違うといっただけでは、別種には出来ぬし、亜種としても分けられぬのが普通だ。ある種のツリーボアや宮古島のサキシママダラが著しいまでの色彩の多様性を見せていることを考えれば、ヘビではそう不思議なことではないだろう。

 とりあえずこれらを識別する形質として、簡単なものに

1、斑紋パターン
2、尾端の白いチップ状の模様の有無
3、胴中央部の体鱗列数

 の3つがあげられる。まず、1で ocellatus 種はすぐ外れるから、次に2を見ていくと、ゴノメの場合はこの特徴を持つ場合が多く(極たまにないものもいるらしい)、ニビイロではまず見られない。また1の特徴とも合わせてみれば、ゴノメがわりと細かいチェック柄なのに対し、ニビイロでは大柄なブロッチ状の模様が入る。

Madagascarophis meridionalis

 そこで、改めて今回入手した写真の個体を見てやると、1と2の特徴を考えて見ればゴノメでなくニビイロであると考えられる。そして、かなり安定的な形質として3の特徴で識別するとそれぞれ

ゴノメ:25-27枚
ニビイロ:29-33枚

 であり、この個体を調べたところ31枚であったことからほぼニビイロで間違いないといえる。僕はこの個体ともう1個体ニビイロ(こちらは地味な体色)を飼っているが、個体の場合体鱗列数は29枚であった。

 ゴノメにも確かにこうした体色の個体が存在するが、斑紋パターンなどまるで異なるし、鱗のカウントでニビイロということが識別できたので、ニビイロにもこうした色彩多型が存在するのだろう。これまで流通した「コガネアリノハハヘビ」がすべてニビイロかは判らないが、多くの場合これに該当するものと思われる。

 それだったら、次に僕はゴノメの黄色いタイプがムラムラと欲しい。勿論本物の ocellatus も欲しいのだけど。
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テーマ:爬虫類 - ジャンル:ペット

  1. 2009/05/04(月) 13:33:26|
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