
さて、幻想的なカエル写真の後はドギツイ毒蛇。
例によってハブ博物公園さんに行って写真を撮らせてもらう。Mさん、グースケさんありがとう、笑。こうした許可済みの施設で毒蛇を飼う分には何の問題もなく、むしろ動物園だのそういった施設は啓蒙的な意味も含めて毒蛇とか超大型種の蛇をもっと飼育すべきなんじゃないかと思う。最もそれを扱える技量と覚悟のあるスタッフがいてこそだろうけど。
で、この毒蛇。前行った時に「メキシコマムシですよ~」と言われて「あぁ、クマドリマムシとか言われてるアレね」と思ってスルーしていたのだが、写真撮ってじっくり現物を見れば何か変。脳内のクマドリマムシとは若干、というかだいぶ違う。最も最初はヌママムシの何か綺麗なのかな、と思ったくらいなので北米の
Agkistrodon グループはそれ程詳しいわけではなかったのだが。

よくよく調べてみれば、どうもこの毒蛇
Agkistrodon taylori ではないか。今のところ和名は不詳。記載が2000年ということで、同時期に出たヘビ大図鑑(監訳 千石)にも載っていないのだから当たり前か。そもそも1950年にはクマドリマムシ
A. bilineatus の亜種として記載されたようだが、2000年に種に昇格したことを考えると同じクマドリマムシでは呼称としてはまずかろう。 英名は種小名から Taylor's cantil (クマドリマムシの方はCommon cantil )ということで味気ないから、スジクママムシとか洒落っ気あるかもしれない。にしても派手なマムシだ。

この腹板!ここまでえぐいマムシもそうそういないぞ。本種の分布はメキシコ内でも東部の一部、サン・ルイス・ポトシの東側やタマウリーパス州の沿岸部からちょっと上がった北東部にまで分布しているようである。その下のイダルゴ州やベラクル州だとかにも少なからず分布記録があるようだが、ここら辺はキングスネークの名にも冠されないので馴染みが薄くわかり難い、笑。
クマドリマムシの方は本種とは反対側の西部の沿岸沿いやカンクーン、そして一部の亜種はホンジュランスだとか中米でも南の方に進出しているようである。本種の分布を見てやると、周りは山に囲まれているため、そのせいで隔離が生じたのかなと想像がつく。
クマドリとの識別は、現物を見れば一発で分ると思うが、容易な識別点としては眼下に入る白いラインがクマドリでは上唇板全体を覆わないのに対し、本種ではほぼべったりと上唇板全体を覆う。あと、明色のバンドのサイドは黄色っぽい。
残念ながらこのヘビはバックヤードにおり、中々一般には公開されないだろうが、こうした施設の裏方にはシレッとこんなんがいたりするんである。
スポンサーサイト
テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真
- 2009/03/04(水) 01:33:04|
- クサリヘビ Vipers
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
ほほう、なるほど、勉強になりました。
結構レアかもしれないんですな。いやー、お宝って眠ってるんだね。
今日、デジカメ修理に出したんで、写真が撮れませんでした…戻ってくるのは2週間後。
注文してた、ストロボのほうが早く着そうな予感。
- URL |
- 2009/03/04(水) 20:48:41 |
- マッド #-
- [ 編集 ]
>マッドさん
施設のバックヤードって結構面白いんですよね。マニア受けするものに関しては裏方に引っ込んでいる場合が多いですから。
- URL |
- 2009/03/05(木) 00:04:00 |
- 化野 #-
- [ 編集 ]