fc2ブログ

Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

河童蛇の宴

カッパヘビ
 ビバガ発売!というわけで、去年の夏からずっとヒタ隠しにしていたブラジルの写真をちょこちょこアップしていきます。ビバガで使われているものの別カットだとか、その他のエピソードを交えて紹介していこうかと。

 第一弾はカッパヘビ Pseudoeryx plicatilis

 この珍妙なヘビはアマゾンの低湿地帯に比較的広域分布しているものの、あまり野生下での観察例は無く、現在までに7つほど本種が登場する論文はあるのですが、多くが現地の爬虫類相をまとめた際のリストアップ的なもので、その生態はあまりよく知られておりません。

 タクソンとしては Pseudoeryx 属には近年まで本種1種のみが記載されていましたが、2007年にWalterらによってマラカイボ湖で捕獲されたものが P.relictualis として記載されています。マラカイボ湖といえば南米大陸最大の湖で、北側でベネズエラ湾とつながり、一部でやや塩分濃度が高い湖としても知られています。そこに分布する新カッパヘビは南米の古地理仮説に基づいて、祖先種から P.plicatilis と分かれていったものと推測され、ベネズエラにぽつんと残った種と言う事で種小名に「置き去られた」とかいった意味を持つラテン語のrelictusが用いられいています。 
 この記載では主に外部形態の計測を用いていますが、遺伝的なアプローチを行なえばより正確な種分化のセオリーを構築できる(もしくは新種が棄却されるかもですが)かと思われます。また、標本数は少ないらしいですが、広域で集められた P.plicatilis もかなりへミペニスに変異が見られるらしいので、ここらへんもより詳細な研究が行なわれれば、種が分割される可能性はありそうです。

カッパヘビ
 で、分類の方は置いといて、僕自身本種が見られるなんて夢にも思っていませんでしたから、こいつを発見した時は目ん玉飛び出るくらいたまげました。なんたってデカイっしょ。
 国内にもカッパヘビはこれまで何個体か輸入されていましたが、どれも小さく細かったため「まぁちっこいミズヘビ」程度の認識でした。英語の文献などで本種が1.2mほどになることは知ってはいたのですが、まぁそんなものあの幼蛇たちからは想像できない。

 そもそも自然下でコイツが見られるなんて思ってもみなかったので、パッと見つけたときには「ん?でかいシンブランクスか?」と一瞬混乱しました。それで掴めばもう大回転で暴れますし、咬み付くし、巻き付くしでとんでもないミズヘビでしたよ。
 あ、ちなみに餌は現地の研究者に聞いたのですが、魚を食っているそうです。「エビとかヤゴとかの水生昆虫は?」ってきいたら「魚を食ってる」と言っていたので、まぁそうらしいです。最も小さい頃はそうしたものを食っているかもしれませんが、なんせ資料が無い。で、このサイズになれば虫とかエビじゃあ足らんだろってことで、魚をバクバク食ってそうです。
 たぶん、宴の様に腐るほど居たシンブランクスとかナイフフィッシュを食っているんではないかなぁと思うのですが、本種を入手する機会があれば、それらしいレイアウトで落ち着けた後、片っ端から南米魚類を与えてみたいなぁと夢想しております。
 
スポンサーサイト



テーマ:爬虫類 - ジャンル:ペット

  1. 2009/01/29(木) 17:15:34|
  2. ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<アマミタカチホヘビ | ホーム | ハルマヘラジャイアント>>

コメント

ビバガ、会社のほうに届いたので、仕事の合間に早速パラパラ~と読ませていただきました。
あのカッパヘビには驚きました…あんなに大きくなるとは。
今日は忙しかったので、あまり見れませんでしたが、明日からじっくりと読ませていただきます。
  1. URL |
  2. 2009/01/29(木) 20:17:25 |
  3. マッド #-
  4. [ 編集 ]

>マッドさん
ワタクシも先ほどビバガゲットしました。毎度毎度トークステージが面白いです。

さて、今日はあったかくて、雨降りですので久々にフィールドに出かけましょうかね。
  1. URL |
  2. 2009/01/30(金) 00:03:23 |
  3. 化野 #-
  4. [ 編集 ]

カッパヘビやっぱり凄いですねぇ。
これカッパヘビだって目の前に出されたって、絶対頭の中のカッパヘビと符合しないですよ。
最初ビバガで見たときタライロンを連想しましたもの。
  1. URL |
  2. 2009/01/30(金) 12:31:46 |
  3. Ridleyi #-
  4. [ 編集 ]

>Ridleyiさん
いや、驚愕ですたい。やっぱ現地で見ると一味も二味も違います。
同じ環境にはでかいホーリーなんかもいましたから食ったり食われたりしてるんでしょうかねぇ。
  1. URL |
  2. 2009/01/30(金) 19:06:05 |
  3. 化野 #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://adashinoren.blog95.fc2.com/tb.php/194-e3ffc8d8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

アダシノレン

Author:アダシノレン
ノーダリニッチ島へ

修士[理学]


Mail : アルファベット小文字で,b.candidus@gmail.com



当ブログへのリンクはフリーですが、写真の無断使用・転用はお断りします。きちんと言って下さいまし。
写真の無断使用された場合、使用料を別途請求いたします。


使用カメラ : LUMIX DMC-FZ50
      : OLYMPUS E-620
: OLYMPUS E-3

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード