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Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

パシフィック・リムと翡翠の目

スミスヤモリ
スミスヤモリGekko smithii
撮影地:ボルネオ島 サラワク州ミリ

 平成ガメラ三部作を超える怪獣映画は最早日本以外から出ることはなかろうとパシフィックリムを観たが、やはりガメラの確固たる地位は揺るぎようがなかった。人が巨大な機械に搭乗し、巨大生物と戦う映画の基本的な見せ場のスタイルはエヴァンゲリオンで完成し、新劇場版の四角い奴、落ちてくる奴戦でカタストロフを迎えたと言っても良い。最早巨大でありさえすれば、従来通りの怪獣の姿をとる必要はないのだ。日本においては他にブルトンがあるし、外国ではただ単に増殖して崩れると言う斬新な攻撃法を持つモノリスモンスターがその先駆者ともいえる。
 怪獣の造形という点では矢張り日本が前衛的かつ常に刺激的で、新怪獣の登場は常に我々の心を熱くした。とは言うものの、平成ゴジラシリーズにおいてはスペースゴジラくらいから「あれれ?」という一抹の不安の雨雲は生じ、デストロイアでは芹沢博士の夢はただ単に巨大で愚鈍なキグルミへと変貌した。その後のゴジラシリーズは衰退の一途を辿り、文字通りFinal Warsにて再起不能な程に愚劣な作品に成り果てた。あの映画で評価するのは対エビラ戦くらいだ(そういえばパシフィックリムでもエビが上陸していた)。

 ガメラ以降は日本の怪獣映画はまるで振るわず、細々と外国のサラマンダーやグリードなんかのモンパニで一時的飢餓をしのぐだけとなる。他にも大量のCG映画が作られたが、ところてんのように心を通過し、後に1カロリーも残らぬ低カロリー動画ばかりであった。

 怪獣欲の満たされぬ胃袋は日増しに縮小し、少しの怪獣で満たされる老人型食生活となる。その折にパシフィックリムである。流石のデルトロ御大である。出来は非常に良い。飽きずに観られるし、心も躍る。しかし、ところてんの様だった。カロリ―は低い。暗い戦闘が多かったのも要因かもしれぬ。折角カッコイイカンフーイェーガーが一度切りの見せ場で敗退してしまったのも要因かもしれぬ。クリムゾン・タイフーンはかっこよかった。パトレイバー宜しく、ああした機体に漢字が刻印されていると萌える。パトレイバーと言えば、本作は久々に吹き替えで見たのだがイェーガーのドックにシゲさんがいたと言えばもうその点で満足はいった。


スミスヤモリ
 パシフィックリムは心躍る映画だったが、怪獣欲が満たされたかと言えば、必ずしも是とは言い切れぬ。洋物の怪獣には何故かほとんど色彩がない。そして、怪獣一体を綺麗に魅せるロングショットが少ないというのも要因だろう。幼い頃から怪獣インフレを受けていた胃袋では、戦闘シーンの連続はずっと肉を食わされているようなものである。一枚の絵になるシーンさえすればそれがアぺとなるし、ソルベとなり、結果印象に残ることとなる。
 未だ満たされぬ怪獣欲は、しかし、ボビットの冒険のスマウグで満たされることと期待している。

スミスヤモリはカッコイイ。
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  1. 2013/08/16(金) 17:21:32|
  2. ヤモリ Geckos
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擬態者の庭

ミツヅノコノハガエル
ミツヅノコノハガエル Megophrys nasuta
撮影地:ボルネオ島 サバ州ポーリン

 前にも書いたが、夜のジャングルは擬態者にあふれている。

ミツヅノコノハガエル

 日本ではペットとしてありふれたカエルだが、逆にこうした種を自然下で見つけると感動もひとしおだ。

 この場所は割と環境が良かったようで、周りには他にキャットゲッコー、ホソユビヤモリ、数種のカエル、ヨロイハブなんかがいた。海外でも国内でもそうだが、生き物の濃い"アタリ"の場所を如何に早く、そして多く見つけるかがフィールドワークの要で、しょーもない場所を時間かけてまわっても、しょーもない結果しかない。割とそうした雰囲気の場所を見つける嗅覚は発達していると思っていたが、今回のボルネオは難敵だった。

テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2013/08/15(木) 21:41:35|
  2. カエル Frogs
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樹上のアトバ

Dryocalamus tristrigatus

 この写真だけでヘビの種類を当てられる人がいたら、重度のヘビヲタです。というか同類です。

Dryocalamus tristrigatus

正体はDryocalamus tristrigatus。ミスジアトバとでも言いましょうか。本種はキノボリアトバ属Dryocalamusに属するナミヘビで、バイカダなどのオオカミヘビ属に近縁とされる樹上性傾向の強い珍蛇です。以前日本に同属のキノボリアトバDryocalamus subannulatusは輸入されたことがあって、しばらく飼っていたのですが、オオカミヘビに近縁ということで、同じような習性と言うか動きを期待していたのですが、どうもふにゃふにゃしていて頼りない。輸入されていた個体が結構痩せていたので、状態が悪いのかなぁと思っていましたが、今回ボルネオでこのアトバを捕まえてみても、やはりふにゃふにゃノタノタとやる気ない感じで動いておりました。

Dryocalamus tristrigatus
 横顔は結構愛らしいようで、黒い虹彩の中に見える瞳は鋭く、僕はこいつらをオオカミヘビと比べて精悍なサイコキラーのような印象を受けました。オオカミヘビ連中は賑やかしいかしまし娘といった感じかな。

撮影地:ボルネオ島 サラワク州 ミリ

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  1. 2013/08/14(水) 16:26:17|
  2. ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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事後報告

P7262882.jpg
トカラねこねこ
撮影地:トカラ諸島 宝島

 さて、一昨日西表島より無事に帰還しました。で、そのまま今日北九州の「到津の森公園」で巳年にちなんで蛇の写真講座をやってまりました。まぁぁったく告知もせず、すいません。
 この1ヶ月は旅の連続でしたので、中々ブログの方は更新が出来ませんでした。これからはちょこちょことボルネオ・トカラ・静岡・西表島と順にアップしていきます。
 しかし、あれですね、こういう講座とかで「ブログ見てます!」とか言われると素直にうれしいものです。まぁ、そういった方々から見捨てられぬようまじめに更新していきます。雑誌や図鑑の方もきちんと書いていかねばなぁ。

 ちなみに写真講座の方ですが、条件が揃えばまた到津の森公園で秋口に開催できるかもしれません。その時は事前に告知します。講座では実際に参加者もヘビを触って、写真を撮ってと中々普通の講演では出来ないことしますので、皆さん結構満足されていたようです。僕が毎回ヘビにか○れるハプニングも本講演以上に好評なようで・・・

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  1. 2013/08/11(日) 19:15:31|
  2. 哺乳類 Mammals
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旅の蟲

Lotus
Lotus
撮影地:バナナワニ園

 先日静岡はレプタイルズショーから戻りました。まぁ、その前にiZooとバナナワニ園に愉快な仲間たちと寄ったわけですが、なんかもう別腹もいいとこで、なんで我々はこんなにも移動しているのか、旅の蟲だと喧々諤々の道中でございました。どうせリンク先の暗黒管理人さんとかが有ること無いこと書くと思いますが、7割5分くらいは眉唾ですので信じませぬよう。フィクションですフィクション。

 さて、今日からまた1週間ほど西表島へ行ってまいります。実は西表島へ行くのは4年ぶりくらいだったりします。ベニヘビが見られると良いなぁ。

ではでは。

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  1. 2013/08/05(月) 09:22:53|
  2. 未分類
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JRS2013

P7262866.jpg
オオゲジ Thereuopoda clunifera
撮影地:トカラ諸島 宝島

 明日から静岡のレプタイルズヨーに参加するためにまたまた福岡を離れます。とりあえず、前日に神戸とか東京とか福井の暗黒面の人たちと伊豆に行って遊んできます。

 会場では今年こそ和服でウロウロしていると思います。

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  1. 2013/08/01(木) 19:21:53|
  2. 蟲 Invertebrates
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ボルネオの差異 弐

P7181997.jpg
サンビームヘビ Xenopeltis unicolor
撮影地:ボルネオ島 ポーリン

 ボルネオで見たかったヘビの一つ。サンビームは東南アジアに広く分布するポピュラーなヘビで、日本にもコンスタントにペットとして輸入されているが、地域によって変異があるように思う。特にこのボルネオ島の個体群は、大陸の個体群と比べまず顔つきがかなり異なるように思う。

P1040114.jpg
 サンビームヘビ Xenopeltis unicolor ペットトレード 産地不詳
 
 一般的にペットトレードされるサンビームヘビは、産地は不詳だが、写真の個体の様にかなり顔が長い。

+P7181970.jpg

 ボルネオのものはやや寸詰まりである。そして、顔の周りの色彩を見てわかるが、上唇板の継ぎ目継ぎ目に白い色彩が入り、それが他地域のものとの違いを明確にしている。サンビームヘビは幼蛇の頃頸部に白い斑紋が一周するが、2枚目の写真のように成長とともに消えるのが普通だ。しかし、ボルネオの個体群は成長後も白い色彩がかなり残る。写真個体は決して幼蛇でなく、全長60センチほどの亜成体だった。このサイズならば一般のサンビームならば白い色彩は消えている。

P7181962_201308010800003b9.jpg

 全体を見るとその特徴が顕著に判る。そういえば、ボルネオに行く前にとあるフィールド王子と電話して「ボルネオにはサンビームに似た蛇がいますよぅ」てなことをおっしゃっていたが、まさしくこのボルネオのサンビームの事で、事前に知らなければ普通に日本で見られるサンビームとは異なる蛇という印象を受けたのだろう。
 ペットショップの入荷をずっと見ていると、一時期どうもこのボルネオっぽいサンビームが出回っていたこともあるようだけど、ロカリティー情報が殆どの場合ないので判断が出来ない。安いヘビであるが、広分布種であることを考えると、こうした地域性を楽しむという方向もありだろう。兎に角、現地で見られて大満足。

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  1. 2013/08/01(木) 08:28:22|
  2. ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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ボルネオの差異 壱

P7171707.jpg
ボルネオキャットゲッコー Aeluroscalabotes felinus multituberculatus
撮影地:ボルネオ島 ポーリン

 ボルネオは大陸から隔絶された島嶼ということもあって、お隣にあるマレー半島と生物種は多くの場合共通しているものの、細かく形質を見ていけば結構差異のあるものがいるようだ。
 中でもこのキャットゲッコーことオマキトカゲモドキは、出版されているボルネオ関係のハペ本の中でも一際異彩を放っており、通常日本に輸入されるマレー半島の個体群とは全く異なるものであった。まぁ、実際は僕がボルネオで見つける前に日本にはペットとして輸入されてしまったが、やはり現地で現物をということで頑張って探してみた。

 一属一種の変わったヤモリと言っても、所詮はトカゲモドキであろうから琉球でのトカゲモドキと同じような環境を見つけて、しつこく探しているとポッと見つけた。周りの環境と言えばバットケイブ(コウモリのいるような洞穴)があり、ゴロゴロと大小多孔質の岩が転がっているよな場所で、本種は膝くらいの高さの枝につかまって下方を通る餌を待ち伏せしていた。
 マレー半島個体群には見られない背面のホワイトラインが鮮明で、暗闇の中に憧れのあのキャットゲッコーがいる!と判断するのに些かの躊躇もなかった。すぐ近くにはホソユビヤモリなんかも観察できたが、このキャットゲッコーの高貴さにはまるで及ばなかった。

 ポーリンに来る前にサラワクのニア国立公園を散策したが、いかにも本種やその他の半樹上性ヤモリが好みそうな岩石地帯がそこかしこにあり、夜に訪れる事が出来たらタコのようにこやつらが観察できたかもしれない。

P7141280.jpg
まぁ、こういった環境ね。
 

P7171686.jpg

P7171687.jpg
 トカゲモドキでよくやるお決まりの瞳写真。マレー半島のキャットゲッコーは瞳がほぼ黒色で、それ故ウルウルとした憂いを帯びた愛らしい目元をしているが、このボルネオの子は虹彩の色がアボカドグリーン。上唇板に入るホワイトラインも大変鮮明で、精悍な印象を受ける。

 ボルネオではこれともう1種、差異のありそうなもの(こちらはヘビ)が見たいと思っていたが、そのどちらも見られたので、多少は満足した。

テーマ:生き物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2013/08/01(木) 02:11:59|
  2. トカゲモドキ Eyelash Geckos
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プロフィール

アダシノレン

Author:アダシノレン
ノーダリニッチ島へ

修士[理学]


Mail : アルファベット小文字で,b.candidus@gmail.com



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写真の無断使用された場合、使用料を別途請求いたします。


使用カメラ : LUMIX DMC-FZ50
      : OLYMPUS E-620
: OLYMPUS E-3

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