ミランダコダマヘビ
Philodryas mattogrossensis コダマヘビ
Philodryas の仲間はバロンコダマ
P. baroni ばかり有名だが、バロンは本属の中でも特別形態的に特異(かつ体色が美しい)で、同属の他種はわりかし見た目が普通のナミヘビである。ミランダコダマヘビも見たままレーサー型のヘビで、動きも早く、体も硬いため、典型的な樹上性生活者を思わせる。
色彩に関しては幾分か変異があり、頭部から背面前半にベッタリと濃緑色が乗り、その周りを鮮明な緑色が囲む美しいものから、写真個体の様にほぼグレー単色の地味なものなどが見られる。この個体は色彩の地味さからショップではパタゴニアコダマヘビ
P. patagoniensis と混同されて売られていたが、もし美しい緑色の個体だったらきちんとミランダコダマとして高値が付けられていた気がする。私自身はこうした色彩のヘビの方が好きだったので、即座に購入した。
活動的なヘビなので、出来れば90センチ水槽あたりを用意して、登り木を配したレイアウトで飼うと面白かろうが、あいにくスペースが確保できなかったため、巨大なプラケに収容している。狭く平面的なケージで飼うと状態を崩す、というかいじけて餌も食べないし、楽しくもない。本来なら可能な限り大きなケージで飼育には臨みたいところだ。
眼の大きさからわかるように非常に視力が発達しており、朝、明るくなって私の姿を見つけると餌欲しそうにソワソワと動き出す。餌付き自体は非常に良いので、ピンセットからマウスを差し出すと、一度私の顔を伺い、マウスに食らいつく。夜仕事を終え帰ってくるとプラケ内の枝の上に丸まって寝ているようなので、昼行性のヘビなのだろう。
動きは早いが、一度手に持つと落ち着き、アジアのレーサー連中のような突飛な動きはあまりしない。後牙類であるので、咬まれることは避けるべきであるが、この個体に関して言えば、殆ど攻撃してくるようなことはなかった。落ち着かせて流木などに絡ませればジッとして、頭を上げて周りの様子をうかがうので写真は非常に撮りやすい。
特別褒める要素の無いヘビではあるが、丈夫で、飼い易く、行動も面白いので、飼育する分には貶す要素も無いヘビである。こうした居ても居なくても変わらないけれど、まぁ飼っているという様なヘビを私は「ささみのようなヘビ」と称しているが、そんなささみヘビが結構うちにいる。
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2013/02/24(日) 16:37:15 |
ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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※ 以下のコメントは別に本種のことが嫌いで書いているわけではありません。 ワーレンギャリワスプ
Celestus warreni 名前のカッコよさ以外、大凡褒めるべきところの無い蜥蜴である。
もし我々がその存在を知らずに、たとえば中米から生き物のリストが送られてきて「Galliwasp very rare, Price:inquiry」なんてのが掲載されていたら、恐らく狂喜する。「なんてとんでもない名前の生き物なんだ!」「そして価格は恐怖のインクワイア!」「嗚呼、欲しいギャリ・ワスプが欲しい欲しい」とか言ってその虜になるはずだ。この蜥蜴がもし「ハイチアリゲータートカゲ」とか「ワレンアンギストカゲ」とかだったらソトイワトカゲと同じく、哀れな立ち位置に居たはずだ。
尤も、現物は蜥蜴の中では比較的大型であるし、見た目も見ようによっては恰好良い。上の写真はギャリワスプの、もうこれ以上カッコ良く撮れない!を凝結させて撮った渾身の一枚だ。この写真以上の蜥蜴でもなければ、この写真以下の蜥蜴でもない。まぁ、本種の魅力の一つに頭のでかさというものもあるので、上からのショットが撮れぬでもないが、それは成熟巨頭化系蜥蜴に萌える一部のダークサイドに堕ちた者たちの享楽でしかない。
色彩に関しても、燻した渋さの塊と言おうか、それでいてちょっとラメ入れしていたり、バンド模様も持ちたいんだか消し去りたいんだか、はっきりせえよ!というような、何とも中途半端なものである。誰が好き好んでこのような蜥蜴を飼いたがるか。
この様相で、アオジタトカゲの様に人慣れするのならばまだ可愛げがあろう。上の写真のように人の手を恐れず、気儘にスキンシップが楽しめる蜥蜴ならば、救いの手は差し伸べられよう。然し、上の写真は歴然とした詐欺写真であり、“やらせ”の悪しき側面である。
この蜥蜴は、まず人間のことが大嫌いである。人の気配のするうちはケージ内に分厚く敷かれた落葉層からはピクリとも姿を現さぬし、動きもない。よく地中性の爬虫類を飼っている人の口から、この手の生き物の飼育は「カブトムシの幼虫や、ただ土を飼っているかのようだ」と称されることがあるが、カブトムシの幼虫ならば、まだモゴモゴと動き、土はしっかりと熟成すれば様々な微生物や植物が発生し、創造の楽しみもある。然し、この蜥蜴は動きもなければ、何も生み出しもしない。せいぜいウンコするだけだ。究極の地中性といわれるミミズトカゲも私は飼育しているが、この蜥蜴に比べれば彼は地表性といって良いくらい活発に動き、餌さえねだってくる。たいへんに愛らしいものである。
この蜥蜴の人嫌いは、状態を確かめるために触診した際にその真価を見る。土をかき分け床材の最下層に巣食うこの蜥蜴を掴みだすと、釣り上げられた鯖や鰯のようにビクビクと跳ねまわり、あまつさえ大口を開けて噛もうとする。頭の大きさというか、両に迫り出した頬の筋肉を見れば、この蜥蜴に噛まれると流血は避けられぬということは容易に想像がつくし、大口を開けている時の目つきといえば、法廷で大衆に狂気の表情で眼を剥くロシアの殺人鬼チカチーロを彷彿させる。噛みつかれたら最後、イリエワニよろしくデスロールをされるかもしれない。絶対に噛まれたくない。そういえば、この蜥蜴に噛まれて、その痛みを耽美な文章で表現されていた暗黒管理人がいるが、彼の事を例に出し、この蜥蜴について記述すると称賛という最もこの蜥蜴に似つかわしくない要素が現出するので、ここでは言及を避けたい。
飼育に関しては、特に記述をする要素すらなく容易である。容易というか、良く分からない。うちに来て2ヶ月ほどになるが、あまり出てこないため餌もやらず、たまに水を代えて、はて?そういえばと取り出してみても何ら変化がない。少しくらい太るか痩せるかしてくれれば気にもかけられようが、寒い年末に送られ、割とコチコチできたその時と何も変わっていないのだから、この蜥蜴いつ買ったっけ?昨日だっけ?一年前だっけ?となることは致し方なかろう。幼体ならば成長程が楽しめるのかもしれぬが、端からデカくて巨頭している成体が欲しいという理由でこうした個体を買ったのであり、ここから手を加えて更なる飛躍を望んでも、満月をさらに満たしたいというような飽くなき望欲に囚われるだけである。例えば試験において、満点をとることの過程が大事なのであって、百点の答案を額に飾り、未来永劫家宝とするような真似は愚の骨頂としかしか言いようがない。本種はそうした退廃的な、唾棄すべき欲望を生むだけの邪な蜥蜴である。
もうひとつ駄目押しとして、この蜥蜴がそれなりの地位を持って爬虫類業界に燻っている理由をお教えしよう。それは矢張り名の持つ魔力なのである。「ギャリワスプ」という名前を聞けば、気の利いた御仁ならば、まず先に本種ではなく、かのトリカラーを思い出すはずだ。そのギャリワスプは学名を
Diploglossus monotrophis といい、標準名の通り、多彩な色彩を持つ非常に美しい魅力的な蜥蜴である。おまけに希少性が高く、滅多なことではその姿さえ拝めることがない。高価であるし、様々ないわくつきのエピソードもある。爪を引っ込めるという何だかよくわからない特技も持つ。つまりはスター性とカリスマ性を兼ね備えた希有な這いずり系の蜥蜴なのだ。
その現人神のような蜥蜴と同じくギャリワスプの名を冠しているのが我らがワレンちゃんなのである。然し、賢明な読者はお気づきであろう。まず、この2者、属名が異なるのである。つまりは大凡は同じグループだけれど、異質のものなのだ。球界で言えば1軍と3軍、ジャニーズで言えば嵐と三十路手前のバックダンサーのようなものだろう。ワレンちゃんは爪も引っ込めることが出来ない、ただのデカくて、速くて、気の荒い、陰湿な蜥蜴なのである。
この蜥蜴の持つ朦朧とした名の魅力という偽りの仮面はそろそろ剥がれてきたはずだ。その証拠に、初入荷から数えて早幾年、ワレンが入荷したところで誰も興味を持たず、ショップの片隅でただ累々とストックされていくだけの存在になり下がっている。この蜥蜴が、いつか萩原朔太郎の「死なない蛸」のように、いずれ己の存在さえも自らの手で抹消させ、世間と業界を冷笑する存在になりはしないかと危惧する毎日だ。
我々は一趣味者としてそのような存在を創り出してはならない。それは我々のレゾンデートルさえ消しかねない危険な存在なのだ。それ故私はこの蜥蜴を飼育する。いつか本当のワーレンギャリワスプの魅力に出会うため。ワーレンギャリワスプの偽りではない真価を世間に知らしめるため。唯一気がかりな点は、私が飼育していながらもこの蜥蜴の存在を忘れてしまうことだけだ。
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2013/02/20(水) 21:13:23 |
トカゲ Lizards
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タイワンハブ
Protobothrops mucrosquamatus 撮影地:沖縄県名護市
※特定外来種 そういえば一般書にタイワンハブの写真が使われました。
結構この手の本は出尽くしたと思っていましたが、今泉氏の手でまた出ています。爬虫類に関して、セマルハコガメを遺伝子汚染の観点から外来種と捉えている点など目新しいですが、そこまで深刻な問題に発展しているのかな・・・?とか思ったり。
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2013/02/10(日) 20:46:02 |
クサリヘビ Vipers
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トッケイ
Gekko gecko 頭の模様が点々でなくY字。ポピュラーなヤモリだが、こうした個性を見ていくと面白いし、集めたくなる。広いケージで飼って太らせるとそれなりにハンドリングできるように思う。感覚的にはアカマタを慣らす感じかな。
ただ、慣れると明け方にトッケイトッケイと7回以上は平気で鳴く。可愛いから良いけど、これが壁の薄いアパートとかだったら、お隣さんにどう思われるだろうか。
もっとブリブリを目指します。
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2013/02/02(土) 01:42:35 |
ヤモリ Geckos
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