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Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

色彩の意味

ナミエガエル Limnonectes namiyei

ナミエガエル

こうして敵から逃れたナミエ氏は低層の礫に紛れるのです。

ナミエガエル
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  1. 2009/08/29(土) 21:01:38|
  2. カエル Frogs
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誰が彼らを

タイワンハブ Protobothrops mucrosquamatus

タイワンハブ

 先日再び恩納村某所でタイワンハブと相まみえる。

 本来タイワンハブは名護の為又周囲でのみ帰化が確認されており、国道58号線を超えた場合(名護周囲で58号線を超えて南下したという報告はまだない)、恩納村にまで広がるには沖縄県衛生環境研究所の予測ではそれなりの年月がかかるものであった。しかし、06年から恩納村で大量のタイワンハブが捕獲される事態となっており、どうも人為的な要因を漂わせている。名護と恩納村の2点の間で本種の捕獲が報告されていないということからも、突如として恩納村で本種が広まったと考えられるだろう。

※訂正
国道の南側で1個体が捕獲された例がありました。
参考文献「外来種ハンドブック(2002)」

 この写真の個体はどうも先月取り逃がした個体のようで、同じ場所にカエル狙いで陣取っていた。その場所には顔なじみになったヒメハブもよく姿を見せていたが、この日はこいつのみ。
 随分と痩せたメス個体であるんで、ひょっとしたら時期的にも産卵後だったのかもしれない。可哀そうだが、帰化種であるし、見過ごすことはできず、殺して持ち帰る。

タイワンハブ

 こちらは、その先月に同フィールドで捕獲した個体。小振りのメスで、林床を徘徊中であった。腹部が膨れていたので、胃内容を保持していると思い、強制嘔吐。やや消化が進行したワタセジネズミと思わしきものが得られた。

 タイワンハブは世界でほぼ初の毒蛇帰化例(オオガシラなどの弱毒種は除いて)であるらしく、生態系に与えるインパクト以上に、直接的に人に与えるインパクトの方が注目されている。よって分布や行動パターンについてはかなり調査が行われているが、胃内容などに関する生体が在来の自然に与える影響への調査はほとんどない。それは同様に帰化が確認されているタイワンスジオとて同様である。
 捕獲のかなりの部分をトラップに頼っているため、回収時に胃内容は消化されていることがほとんどであるし、そもそも餌を探して徘徊している個体がかかる率が高いだろうから、胃内容を持っていないことの方が多いらしい。
 外来種の問題を論じるときは、在来への動物群へのインパクトについての議論は欠かせないだろうから、少しでも貢献できるように今回得られたデータは雑誌に載るように執筆中。

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  1. 2009/08/28(金) 18:49:11|
  2. クサリヘビ Vipers
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蛙渓流図

ホルストガエル

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  1. 2009/08/28(金) 13:20:05|
  2. カエル Frogs
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毒蛇渓流図

ヒメハブ Ovophis okinavensis

ヒメハブ


ヒメハブ


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  1. 2009/08/27(木) 16:37:36|
  2. クサリヘビ Vipers
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枯葉亀

ヒラタヘビクビガメ Platemys platycephala

ヒラタヘビクビガメ

 野外で、しかも海外でネイティブなカメを見つけるというには至難の業。

 おまけに落ち葉まみれで、ビチャビチャの水辺で、落ち葉そっくりのカメを見つけるなんざ、まず不可能。そんな時頼りになるのが現地ガイド。サクッと見つけて来てくれる。もしかしたらすごい偶然だったのかもしれないが、そこはそれ。得意げにはにかんだガイド氏の実力を素直に賛美しよう。

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  1. 2009/08/26(水) 19:55:16|
  2. カメ Turtles
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安価な美術品

ヤシヤモリ Gekko vittatus

ヤシヤモリ

 その昔飼っていたヤシヤモリ。これほどコストパフォーマンスが良いカベチョロもそういなかろうと思われる、飼育していて楽しい種である。こんな模様はおそらくカベチョロ界では無二であろうし、丈夫で、安価で、慣れもする。

 以前植物を密に植えこんだ90センチの水槽で本種3匹、スミスヤモリ1匹を飼育していたが、餌をばら撒くとまず本種達がヒョコヒョコと出てきて、コンピーの如くコオロギを襲い、遅れてスミスが茂みからラプトルの如く本種らを蹴散らしてコオロギを貪る様は小さなジュラシックパークを囲っているような面白さがあった。
 特に小競り合いもすることなく、時々スミスは鳴いていたりもしたので、飼育環境はこれで問題なかったのだろう。

 こういう種はキープ的な飼育ではなく、広く飼育環境をとってやって、その行動が十分に楽しめるように飼育した方が絶対に楽しいし、お勧めできる。

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  1. 2009/08/25(火) 23:54:43|
  2. ヤモリ Geckos
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チャマダラ

チャマダラ Psammodynastes pulverulentus

チャマダラ

台湾見れなかった蛇第2弾(笑)

いや、またビバガに投稿しようかと思いましてね。とりあえず台湾ものはお持ちください。

 しかし、このヘビ、特定外来法で種類名証明書添付必要種というカテゴリーに入っているため国内ではもう見ることもなかろうと、生息域で見ることを楽しみにしていたものの一つであったため、ちょっと残念。しかも、台湾のものは写真とか見ていてなんか違うな~と思っていたら、台湾の方に「別亜種だよ~」と言われた。確か papenfussi の方だったと思います。

 写真のものは以前飼っていたたぶん基亜種で、沖縄に来るとき郵送トラブルでお亡くなりに。生き餌しか食わないのが面倒だったけど、かあいらしい、飼っていて楽しい蛇だった。

 あぁ、次こそこやつを見つけたい。

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  1. 2009/08/24(月) 23:07:22|
  2. ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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与那国臭蛇

ヨナグニシュウダ

ヨナグニシュウダ Elaphe carinata yonaguniensis
(飼育個体)

台湾では残念ながらシュウダは発見できず、見たい蛇のトップ2は抑えられなかった。台湾でも最近は大型個体を見る機会が少なくなってきているらしいが、まだまだ山は高く、森は深いので中にはとんでもない個体がいたりするんだろう。

ヨナグニシュウダ

 この迫力をフィールドでも味わってみたいもの。

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  1. 2009/08/23(日) 22:44:29|
  2. ナミヘビ(国産) Colubridae (Japan)
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帰宅~~

スウィンホーハナサキガエル Rana swinhoana

Rana swinhoana

昨晩台湾より帰宅いたしました。フィールドは2晩のみウロウロしただけですが、まずまずの成果。結構面白いもんが見れました。

Rana swinhoana

小青蛇先生,對我給信息表示感謝!
以後,我給你發出郵件.



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  1. 2009/08/22(土) 17:38:36|
  2. カエル Frogs
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疾走感と敗北

イイジマウミヘビ

イイジマウミヘビ Emydocephalus ijimae

昨日は久々に潜ってきました、夕方と夜。
お目当てはエラブウミヘビ属だったんですが、いるのはイイジマとクロガシラのHydrophiinae ばかりなり。しかも、細かいチリがようけ舞っているため、まともな写真が撮れまへん。写真はごまかしの遊泳図。

 イイジマウミヘビの遊泳速度はそう早いものではなく、フィン付けた人間ならば余裕で追いつけるでしょう。意外に早いのがクロガシラウミヘビで、しかもこいつの場合、ちょっかいかけると虫の居所が悪ければ怒って咬みついてきます。夜の海なんかでクロガシラを採り逃すと、いつ暗闇から逆襲してくるのかとちょっと怖い思いをしたりもします。

 普通に観察する分には特に危険はないので、ある程度距離をとって戯れて下さい。ただ、なんでかクロガシラって人を見つけると興味持って近づいてくる奴がいて、僕は30分くらいずっと付け回されました。別に並走して泳ぐ分には構わないのですが、こっちが方向転換とかしてフィンでも当たって逆ギレされたら敵わないですよね。というチンピラ的な一面があるのがクロガシラです。

イイジマウミヘビ

 カメガシラウミヘビ属と称されるように、なんかヘビの顔をしていないイイジマっち。これもまぁごまかし写真でやす。今度はちゃんと時間かけてきれいに撮りたい。

 あ、沖縄本島周辺でエラブウミヘビがいるよーって場所があったら、ぜひご一報ください。採りに行きやう。

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  1. 2009/08/16(日) 14:36:26|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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樹上梅花蛇図

サキシマバイカダ

サキシマバイカダ Lycodon ruhstrati maltifasciatus

八重山4大珍蛇とか言われるサキシマバイカダ。実際はそれなりの数が見られるヘビで、昔に全然記録がないのは誰もヘビなんかには注目してなくて、よしんば発見したとしても情報を発信する場もそうはなかったし、素人はサキシママダラと混同したからだろう。

 しかし、実際にこいつを見つける状況というのが大抵地表で、中でもアスファルト道上が多いのはいかにも風情がない。バイカダは道路に出てくることが多い、というのも単に発見効率がいいだけで、森の中でもそうとう活動はしているものと思われるが、頭上まで含めるとかなりの部分を見落としているという指摘はあるだろう。もしかして明かりの当たっていない場所でイワサキワモンベニヘビが交尾していたりしたかもしれない。

 そんな中、バイカダが樹上で休息していた姿を初めて発見したのがこの写真。ダラダラと伸びて、ものすごくおさまりが悪かったので上半身のアップのみ。自分と同等くらいの太さの枝にうまいこと絡んでいる。

 こういった姿を見てこそ初めて自然下で観察できたなぁという実感がわく。そういえばイワサキセダカも道路上でしか見たことがない。次の目標はあの鈍頭蛇だな。

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2009/08/15(土) 11:34:29|
  2. Dinodon/Lycodon
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炭鉱廃墟

西表島 ウタラ炭鉱

ウタラ炭鉱

東南アジアの鬱とした雰囲気が漂ってきそうな。

パトレイバー2 の冒頭を彷彿とさせる自然物と造形物の融合。

ウタラ炭鉱

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  1. 2009/08/13(木) 01:14:06|
  2. フィールド Herping
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南米喧噪魚市場

マナウス

あぁ、そろそろ友達が南米に行ってしまう。

なので僕は南西に下ろう。

マナウスの魚市場で見かけた魚種ざっと。

コロソマ(タンバッキー)
ミロソマ(パクー)
ドラドカショーロ
ピラニアナッテリー
ブラックピラニア
アッパッパー
ホーリー
トライアングルシクリッド
オスカー
淡水イシモチ
タイガーシャベルノーズ(ピンダート)
プラニセプス
バルバート
レッドテールキャット(ピララーラ)
カリクティス
シルバーアロワナ

オスカー
 
 これらのオスカーはマナウス市場に並ぶものであるから、当然ネグロ川で捕れたもの。そして、そのネグロ川産は個人的にワイルドオスカーの中での最高峰。ネグロの黒き水はかくも魚の赤を洗練させる。

 顔つきもややシャープなシクリッドのそれであり、兎にも角にも愚鈍で愛嬌ある従来のオスカー像とは異なる美魚だ。うず高く積まれたトライアングルシクリッドなども感動したが、市場で最も感動した魚はこれ。

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2009/08/10(月) 20:32:10|
  2. 魚類 Fish
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アイデンティティーの崩壊

ヨルナメラ Elaphe flavirufa

ヨルナメラ

 ヨルナメラと言えば、丸い瞳の新大陸ラットの中でも強烈に夜行性を主張するが如き、ほぼ"点"の様な瞳を持つのが特徴である。あの知性を感じさせぬ常軌を逸した視点の定まらぬ瞳は、見る者を不安にさせ、神経を狂わせる。蛇界広しといえども、あのような目をしたものは他にイワサキセダカを置いて私は知らぬ。

 夜の名を抱き、狂気を欲しいままに邪眼でメヒコの荒地を徘徊する。それがヨルナメラ…だった。

 何ですか?この愛らしい瞳は。サバクナメラかロザリアとでも浮気したんですか?

ヨルナメラ

 瞳が虹彩と番を張れる大きさなんて、そんなのヨルナメラじゃない!

 このロザリアの売女!と罵ってやりたい。

 しかし、僕はこの蛇を愛します。単純にかあいらしいじゃないですか。

 でも、ほんとにお前さん何なの?

テーマ:爬虫類 - ジャンル:ペット

  1. 2009/08/08(土) 22:25:34|
  2. ナミヘビ(外産) Colubridae (Other region)
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銀の肖像


ホンハブ Protobothrops flavoviridis
久米島 Kume Island

Protobothrops flavoviridis

帰宅、帰宅。台風のせいで遅れやした。

 戯れに購入した【フランス語博物誌 動物編】が思いの外面白い。動物学者ではない著者の方が80代になってから書き纏めた書なのだが、本朝の動物の語彙も同時に集められ、動物に対する語彙の収斂性が面白い。
 たとえば「爬虫類」を意味する単語で元のラテン語 "reptile" は「這う "repre"」の名詞化であり、現在広く爬虫類を指す語彙よりヘビという側面を濃厚にもつ単語であるらしく、ヘビの「這う」という行動にその源流を求められるようだ。本朝での「ヘビ」も咬むという意味で「ハム」もしくは「ハミ」から転じた解釈がやや主流のような印象を受けるが、これが同時に「這う」という意味合いも有しておりそちらが語源になった可能性も著者は指摘している。ただし、この混乱については【郭公のパン】に詳しくとあるので、こちらも購入して読み比べてみたい。ヘビを指す語彙は殊の外多いので、一つ一つを調べてみても終りの見えない長いヘビかウロボロスヘビのようで飽きるところがない。かくも蛇とは魅惑的な生き物なのだ。
 ドイツ語の "Schlange" は「巻きつかせる"schlingen"」が語源のようで、このあたりは着眼点の違いであろうか。フランスというとレーサー系のヘビが多く、ハシゴヘビなんぞ見ても素早く這って去るイメージがある。ドイツと言えばNatrix か Vipera くらいしか思いつかないから巻きつくとはどういった視点なのだろう。最もヨーロッパのヘビ相にはまるで明るくないので、実際はもっと多様なんだろうけど。Natrix がラテン語「からませる"nere"」から派生したもので、「泳ぐ "natare"」となり、水辺に多い natrix となったのならば結局のところ「這う」という行動に落ち着きそう。

テーマ:動物の写真 - ジャンル:写真

  1. 2009/08/08(土) 11:18:49|
  2. ホンハブ Protobothrops flavoviridis
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或る果物についての手記

ハルマヘラパイソン

 今日から帰福。

 更新や返答は少々後になると思うので、最近小生の身の回りの出来事など記してみる。

 

 皆様はカニステルという食べ物をご存じか.

 蟹捨てる、でもなく、蚊煮捨てる、でもなければカタカナでカニステル。ポリエステルとかそういうエステル化合物のような化学ちっくな代物でもなく、果物の1種である。

 それを先日食した。

 小生はこれまでセロリ、ニンジン以外の食べ物は平気で食えると思っていた。かつて一部の方々には小生は大のカレー嫌い男子という認識があったと思うが、ここ最近は自発的にカレーを購入するまでに食い馴れた。カレーは何より手軽で安価なのだ。食い馴れれば食費が浮く。おまけにタイから来た留学生の作るグリーンカレーがまことに美味で、これが昨今小生の大好物の一つとなりつつある。カレー眼鏡男子と呼ばれる日も近いやもしれぬ。

 ピーマンもかつて小生の苦手とする食物で、大学1年まで毒草の一種と思っていたが、ハンサムな親友の献身的な啓蒙と強制給餌のおかげで最近は野菜炒めにピーマン抜きなど考えられない味覚感覚にまでなってしまった。ピーマンを可食できるようになったのは小生の食史において輝かしい軌跡として後世に伝えられるだろう。
 しかし、その陰にはひとかどならぬ小生の苦労もあり、かの親友は端正な容姿とは裏腹に感情が高まるとトレインスポッティングのベグビーよろしく、ボカボカと人を殴る凶暴性を有しており、小生のピーマン修行中にもその性質が遺憾無く発揮されたことは追記しておこう。

 その他、珍味や奇食ともとれる様々なものを食ってきたが、現在において小生を跪かせられるものはセロリ、ニンジンの毒草ただ2種のみで、これはもうゼネラリストの栄華を極めたと言っても過言ではないかと思われた。

しかし、ここで難敵が突如として登場した。


カニステルである。


 この珍妙な名称の食物はアカテツ科オオミアカテツ属に属する樹木の果実で、その形状から散弾の弾体 カニスターが語源と言われている。イメージが湧かぬ方は黄色い永沢君をイメージしていただければよろしい。

 かような果実が先日研究室でふるまわれたわけだが、先輩諸氏がパクパクと食しているのにつられ、私も名前の珍妙さやカットされたマンゴーにも似たかの果物の小片に魅かれ食してみた。


 人は味覚の4割を視覚に頼っていると言われている。高校時代よくやった悪意のない悪戯の一つに、コーラの缶に牛乳を入れて友人に飲ませるといったものがあるが、これは味覚の大半が実は視覚に依存していることを証明する一つの実験であったことはご承知の通りであろう。
 暑い夏の日、喉の渇きを癒すためコーラと思っていきよい良く喉を鳴らしその缶を飲み始めた者の実に九割が次の瞬間、生ぬるい白濁した液体を口内から噴出していたものである。その後被験者は怒れるベグビーとなり、ボカボカと小生を殴打したことは大いなる研究に対するごく些細な代価と思って甘んじて受けとめた。

 かように、人はまず視覚情報で食物を味わい、それとのギャップがあった時は己の味覚より脳が視覚によって下した判断に従う場合のほうが多いのである。

 それでカニステル。

 曲がりなりにも果物と呼ばれている代物である。おまけにカットされたその容姿はいかにもフルーツ然としている。私は安心してその物体を口に運んだ。

 口に入れた瞬間私の脳が下した判断は「歯クソ」もしくは「流しの三角コーナーに詰まった残飯とか蛆とかとかなんとかがウジュウジュネチョネチョしたクトゥルフ邪神を喚起させる不定形のもんがらもんがら」であり、その壮絶な味、食感にコズミックホラーを感じた。

 不味いのなんの。なんだあれ!こんなもの食うのは馬鹿だ馬鹿。蟹も捨てるわ!

 と悪態をつき、先輩諸氏の手前上吐き出すわけにもいかず、水で固形のまま胃の腑に流し込んでやった。そんな小生を尻目に「おいしいのにー」と平気な顔をして2つ3つと続けて食らう先輩諸氏とは本質的に理解でき得ぬ存在なのかと思い悲しみが芽生えた。

 こうして小生の毒草リストに「カニステル」という新たな1ページが加えられることとなった。


 後日談

 というか次の日くらい。小生は車中でラジオを聴いていた。ラジオではたぶん可愛い20代前半の女子お二方が他愛のない己の日常や六億光年くらい離れた惑星の炭素含有量くらいどーでもいいリスナーたちのお便りを紹介し、時たまJポップを流し、あぁラジオっていう時間を演出していた。
 そんな番組のトークでふいにカニステルの話題が登場した。なんでも片っぽの女の子は最近これを初めて食したらしく、その感想を可愛らしい声で述べていた。
 「ふん、あんな毒草食べてさぞかし悶絶したことだろう」とデロデロとカニステルを吐き出すふんわり服装の可愛い系の女子(21)髪型ベリーショートを妄想してると「食感がチチカカしました」とかのたまいはじめた。

「食感がチチカカしました」って

意味が、分から、ない。

 カニステルの食感はあくまでネチョネチョかイア!イア!であり、例外は悉く却下である。

 大体チチカカってなんだ?ペルーか?ペルーの湖なのか?ミズガエルなのか?それとも民族系雑貨屋か?あそこで買ったシャツを何も考えんと他の服と一緒に洗濯機に放り込んだら色移りしたよ!って問い詰めてやりたい。ついでにアレを食べてそんコズミックなコメントが出来る彼女とはお付き合いしてもらいたい。

追記

 後に聞いた話では「ちちかか」とは琉球の方言で「ちーちーかーかーする」というパサ付いた食べ物が飲み込みにくい時に使う用語であるらしいことが判明した。いずれにせよ、かようなかわいらしい用語をかわいらしく発音できる彼女とは再度お付き合い願いたいものである。

テーマ:ある日の風景や景色 - ジャンル:写真

  1. 2009/08/01(土) 05:19:13|
  2. 未分類
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プロフィール

アダシノレン

Author:アダシノレン
ノーダリニッチ島へ

修士[理学]


Mail : アルファベット小文字で,b.candidus@gmail.com



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写真の無断使用された場合、使用料を別途請求いたします。


使用カメラ : LUMIX DMC-FZ50
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