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Groveling things

爬虫類やらその他のイキモノ

イボウミヘビ

Enhydrina schistosa
イボウミヘビ Enhydrina schistosa

ご無沙汰しております。
突然ですが、明日、日テレの「世界の果てまでイッテQ」に私のウミヘビの写真が使われます。ほんとうは最強のウミヘビということで、イボウミヘビを使いたかったようですが、残念ながら標本の写真しか持っておらず、この標本写真は生々しくて、テレビ的にNGということで、かわりにクロボシウミヘビが流れると思います。まぁ、すごくちっちゃく流れると思いますので、お見逃しなく、笑

Enhydrina schistosa

 しかし、あれですね。イボウミヘビって世界最強の毒蛇として言われる割に現物を見たことある人は少ないんじゃないですかね。もしくは「これがイボウミヘビだ」と認識している人も多くなさそうです。尤も私も標本しか見たことはないんですが。
 イボウミヘビ自体はウミヘビとしてかなり異質な種で、見ての通り顔がキモイです。Hydrophisのように洗練されたハンサムフェイスでもなく、Emydocephalusのようなキュートな小顔でもなく、下顎や吻端板が妙ににょーんとしたりカクカクしたりで、キモイんですが、ウミヘビ好きにはたまらない顔相をお持ちのお方です。現地では干潟のような水が濁った浅瀬に多くいるようで、潮干狩り感覚でこうしたところを素足で歩くと本種を踏んづけてしまうようで、それ故被害も多く、毒も強いため恐れられているようです。

いつか現地で捕獲してやりたい種の一つです。
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  1. 2013/11/02(土) 16:32:45|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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ウミヘビ論文

Laticauda saintgironsi
キマダラウミヘビ Laticauda saintgironsi
撮影地;ニューカレドニア パイン島

そういえば、写真のウミヘビは関係ないですが、私のクロガシラウミヘビの写真が論文紹介に使用されました。
http://novataxa.blogspot.jp/2013/03/ecomorph-evolution-speciation-in.html

以下がその論文
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/mec.12291/abstract
"Recent rapid speciation and ecomorph divergence in Indo-Australian sea snakes.”
Kate L. Sanders, Arne R. Rasmussen, Mumpuni, Johan Elmberg, Anslem de Silva, Michael L. Guinea, Michael S. Y. Lee.


「Molecular Ecology」というかなり有名な雑誌で、著者の一人から私の写真を使用したい旨のメールがあったのですが、学生時代とても引用していた論文の著者だったので、非常に恐縮しながら対応しました、笑。第二著者であるRusmussen御大などウミヘビ研究では有名人です。

 真性のウミヘビであるHydrophiidaeは爆発的に種分化したことが知られており、特にHydrophisは近年の適応放散によって急速に分化したとされ(Vimoksalehi&Keogh,2006)、その分化は多様な生態(主に採餌?)によって促進されることが予想されていました。そういった意味で本論文では、"Shrunken Heads of Sea Snakes(小頭系のウミヘビ)"系を中心に取り上げ形態と分子系統をリンクさせて議論がなされており、先の研究を多くサポートするものとなっているようです。

 ウミヘビは実際へビ屋からもあまり注目されないグループでしたが、このように研究の余地がたくさんあり、また単純に種数が多いことで、趣味的にもふれあうには楽しいグループです。まぁ、飼育屋さんには基本的無縁のグループですが、ハペ屋的にもっと語られたらいいなぁと思います。

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  1. 2013/06/19(水) 16:17:44|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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白黒萌

クロボシウミヘビ
クロボシウミヘビ Hydrophis ornatus maresinensis

「要は白黒が好きなのである」

 と、のっけからなんなんなんだと思われるムキがあるかもしれないが、これは個人の趣味思考なのだから致し方ない。東京グランギニョルの主幹であり、一時期は動物堂の店主であった、かの飴屋法水氏の名著「君は動物(ケダモノ)と暮らせるか?」の中に「黄金のものさしを持て」という光芒を放つ名文句が登場するのだが、この黄金の物差しという概念は趣味人たるもの心に常に付帯しておかなければならないものだ。

 要は貴方の心の本質は何処に帰着するかを見極めることである。それは育ってきた環境かもしれないし、生来生まれ持ってしまった感覚かもしれない。しかし、どんな人にも、その人独自の嗜好性があるもので、それを自覚することで外を見る目は変わってくる。この年になって思うが、人それぞれの方向性なんてものはすでに生まれてきた頃からボンヤリと決まっていて、何らかの具体性を持ってくる思春期以降にはおいそれと変わることはないものだ。
 僕なんてのは一時期体育会系の部活に入っていたりしたものだが、本質が文化系であったようで、やはり違和感は感じたし、春風高校的なリベラルな雰囲気で群雄割拠できる方が心落ち着いた。

 爬虫類の嗜好にしても、初めは強烈な種類に目を向け、巨大種や、美麗種、ベタベタに馴れるペット的なもの、色々と目移りし、買いもしたし、扱ってきたが、最近ハタと立ち止まって俯瞰してみると、どうも僕の嗜好というのはいささか地味で、それでいて己の存在感を静かに主張するものであるような種が多いような気がしてきた。

 その代表格がアマガサヘビである。このヘビはコブラ科に属し強烈な神経毒を有し、東南アジアの国々で多くの死傷者を出している恐ろしい毒蛇の一角である。そんな凶悪な毒蛇が好きなのだから、蛇好きの中でも相当のファンキッシュな野郎だろうと思われるかもしれない。しかし、待ってほしい。アマガサヘビを実見したことはおありだろうか。
 かのヘビは、話に聞くほど邪悪なものではない。たしかに毒性は強いかもしれぬが、その見た目は第一に地味である。ほぼ白黒のツートンカラー。マルオアマガサという黄色にキメたブルース・リー的な奴はいるかもしれないが、その他の連中といえばバンドの幅、入り数は違えど一様に葬式色である。また性質もズンドコと攻撃してくるようなものでなく、あくまで専守防衛。よほど追いつめられぬ限り攻撃に転じてくることはない。
 しかし、その毒性たるやwikipediaには「人の致死量はわずか2-3mgで、針のようなものの先端に毒をつけて刺すだけで大人も死に至らしめる」とある。どえらいことである。

 これほどの力をもってしても、あくまで地味に生きているのである(いや、本人たちがどう思っているかは知らないが)。こうした姿勢が白黒に込められていて、僕はそれに共感し、黄金の物差しを当てはめるのである。ウミヘビもまぁそんな感じなので、同じく好きなのである。そして、それらに擬態する連中も一様に白黒の殉教者であると思うので好きになるのである。残念な点は、僕が白黒の服なんて着ても、よくわからない楳図かずおのようにしかならないことである。

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  1. 2012/09/08(土) 01:04:03|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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無垢なる黒瞳

クロボシウミヘビ Hydrophis ornatus maresinensis
撮影地:沖縄本島
クロボシウミヘビ


クロボシウミヘビ

 日本に分布する Hydrophis の中でも一際穏やかで、表裏の無さそうな表情を持つ.
 然し、その性質は狂犬とも呼び表わされるほど、荒く、猛々しい.感情を純粋に吐露する性質故、澄んだ瞳をしているのかもしれない.

(使用カメラ:OLYMPUS E-620)

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  1. 2011/03/14(月) 23:55:20|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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過ぎゆく夏とか海とか

Laticauda saintgironsi

Laticauda saintgironsi
撮影地:ニューカレドニア,アメデ島(2010年3月)

暑さは未だ変わらねど、騒ぐ蝉は遷りけり

 いやぁ、とうとうツクツクボウシがメジャーになってきましたね。明け方のクマゼミのワシャワシャ合唱がほとんど聞こえなくなり、ポテポテと死骸が目立ってくる今日この頃。ちょっと前まで沖縄にいたため、このセンチメンタルな生き物の遷移にはちょっと感傷的になりますね。
 こっちが季節の移り変わりを憂いている時も、ニューカレドニアのアメデ島では、今日も変わらずウミヘビがウロウロしていることでしょう。

 ずいぶん前にパイン島でのこのウミヘビについて書きましたが、本場はこの島。ニューカレドニア本島南部周囲の離島でも観光名所になっているため、日本人観光客でもこの島を訪れたことがある人も多いと思います。僕が行った時もイチャコラしてるカポーや東京の大学の学生らが研修(?)にたくさん来てました。
 島といってもほんとちっこい島で、周囲スタスタ歩けば15分くらいで歩けるんじゃないでしょうかね。まぁ、島の概要はググりでもしたらそこここに出ているので見てみてください。

 さて、こんな観光地然としたチャラい島になぜ僕が行ったのかというと、もうウミヘビを見るためです。そもそもニューカレドニアに行ったのはラコダクやカグーを見るためでなく、このウミヘビを見に行くために行ったのです。
 僕は最初ヌメアのビーチで泳ぎました。クソクソ街の近くというのにサンゴは驚くほど発達してて、ウホッてな具合だったのですが、エラブウミヘビ属Laticauda が上がりそうな(この属はウミヘビですが、休息や産卵のために陸地を必要とします)陸場がまるでなっしんぐ。岩礁があんまりなくて、江の島ビーチみたいな感じなんですよ。こりゃウミヘビいねぇなぁとガックシして、ウミヘビ見られなかったら大絶望だぜよ、と思ってフロントで「ウミヘビ確実に見られるとこあります?」って聞いたらアメデ灯台を紹介されました。
 まぁ、ウミヘビ目当てにニューカレドニアに来る人なんて5,6人くらいしか居ないでしょうから、フロントに「なにすんの?持って帰るの?あなたなんなのですか?」的に質問されました。めんどくさいんで「ウミヘビの研究してた院生です」って言いましたが。ちなみに、ニューカレドニアではウミヘビは保護されているらしく、持ち帰ったりは出来ないそうです。最も、そもそも爬虫類の持ち出しが厳しい島ですし、ウミヘビは毒蛇なんで持ち出したりはしませんが。

 まぁ、そんなこんなで次の日、早速アメデ島のツアーに参加して行ってきました。ヌメアから1時間くらいだったかな?で着く島で、朝行って夕方帰ってくるプランで、個人的には「ウミヘビといえば夜だろうよ。夜まで居たいよぅ」とか思っていたんですが、この島は灯台を管理する家族以外は滞在が許可されないそうです。ぐぬぅ…と不安いっぱいに行ったんですが、いっぱいいた。

Laticauda saintgironsi

Laticauda saintgironsi
 
 もうですね、砂浜にポテポテ落ちてるんですよ。日本では、西表島なんかで調査やっていると、圧倒的に夜の方が活動しているんですよ。もしかしたら人の通わない砂浜なんかでは、結構昼間にも動いているかもしれませんが、とりあえず人がワーキャーいる星砂ビーチとかでは、ほとんど居ない。
 でも、アメデ島にはいっぱいいました。いや、なんもないだだっ広い砂浜にニョロニョロと海から上がってくるんですよ。砂浜を抜けると草むらがあったり木が生えてたりして、そこにウミヘビたちは休息のために向かっているわけですが、いくらなんでも無防備に上がって来すぎでしょうよ。

 なんて楽しい島なのでしょう!と一人大回転で転げまわってウミヘビと戯れていたんですが、一緒に上陸した大学生やフランス人たちが興味を持って話しかけてくる。大学生は良いんですが、フランス語はわかんないですよ。しかも、あいつら英語を話しゃしない。多分自分の国が一番偉いと思っているので話さないんですよ。なにがメルシィ-ボクだ!
 しまいには、なんかすっげぇファンキーな格好したおじいちゃんが「こう持ってポーズしろ」とか「ここにウミヘビを補定しとけ」みたいなニュアンスでアレコレ言ってきました。美女があれこれ注文するならウホホイとやるんですが、なんで僕はニューカレドニアにまで行って爺のウミヘビアシスタントしなけりゃならないのか。
 あ、ちなみに最初に書いたように、このウミヘビはコブラ科に属する毒蛇です。咬まれたら多分死にます。まぁ、それをエヘエヘしながら触っているから多分僕がヘンテコなんですが、命がけのサービスですよ。

Laticauda saintgironsi 

 そんなこんなで、林に避難してさらにウミヘビを撮ってました。この属のウミヘビはこうして陸上活動が巧みですから、木にも登っちゃう。ほんとは木の上に絡まっているウミヘビを撮りたかったんですが、残念ながら見つけられず、足元に来たこのウミヘビちゃんをポージングさせて撮りました。やらせですがこんな風に(多分)居るんですよ!

Laticauda saintgironsi

 そして、見てもらうとわかるんですが、このウミヘビ、オレンジというか黄色というか、何色だ?中国の伝統的な色彩で言う鵝黄色的なおされな色合いなんですよ。近年まで我が国にも分布しているアオマダラウミヘビ L. colubrina と同種とされていたんですが、アオマダラがその名の通り灰青色を基調としているのに対し、本種は鵝黄色。サイズも小さく、色彩の為か顔つきも愛らしいです、笑。
 
 ウミヘビ目的でニューカレドニアに行く人は少ないと思いますが、この地に訪れたら是非彼らを観察してみてください。きっと素敵な佇まいに感動するはずです。触るのはお勧めしませんが。

(使用カメラ:OLYMPUS E-620)

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  1. 2010/08/29(日) 03:33:33|
  2. ウミヘビ Sea snakes
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プロフィール

アダシノレン

Author:アダシノレン
ノーダリニッチ島へ

修士[理学]


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